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コロナ自粛が明けたらデイ通いを拒否するようになりました【お悩み相談室】

自動車から車椅子に乗り換える人のイメージ

介護支援専門員(ケアマネジャー)の長澤かほるさんが、介護経験を生かして、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.同居している認知症の父(76歳)は、週に5日デイサービスを利用していたのですが、コロナの影響で通所を自粛していました。私も仕事の在宅期間が終わり、出社しなければならないので通所を再開したところ、行くのを嫌がるようになってしまいました。それまでは比較的スムーズに通えていたので、困っています。(50歳・女性)

A.もともと週に5日通所していたということなので、行ってもらわなければならない、というご家庭の事情があるのでしょう。焦るお気持ち、よくわかります。ただ、お父さまはもともと好んでデイサービスに通っていたわけではないとすると、まして認知症の方が長期間居心地のいい自宅で過ごせば、再びデイサービスに行くのを嫌がるのは想像できます。まずは「嫌がるのは特別なことではない。自分も子供のころは夏休み明けに登校するのが嫌だったな」などと、とらえてみましょう。お父さまの「行きたくない」という気持ちに対して、がっかりしたり心配したり焦ったりすることが先行してしまうと、思わず「行かないと寝たきりになるよ」など、脅すような言葉をかけてしまうこともあります。そうなるとお父さまはただ嫌な思いをするだけで、デイサービスに行こうという前向きな気持ちにはならないでしょう。

そのうえで現実的な対応として、再開してすぐに週に5日通うのではなく、まずは週に1、2日程度から試してみてはいかがでしょうか。一緒に散歩しながらデイサービスの近くまで行ってみるのもいいと思います。久しぶりにデイサービスのスタッフに会って歓迎されたり、楽しい時間を過ごせたりすると、以前のようにスムーズに通えるようになるまで、それほど時間はかからないかもしれません。

ケアマネジャーとデイサービスには、嫌がっていることを伝えておきましょう。家の事情でいきなり週に5日通ってもらわなくては困る場合も、一緒にアイデアを考えてくれるはずですので、相談してみてください。例えば朝、嫌がって送迎車に乗れなければ、先にほかの利用者を送迎して、その後の時間、タイミングをみて再び自宅にまわってくれるかもしれません。

少しずつ再開することは、ご家族にとっては負担がかかることかもしれませんが、最終的に週に5日スムーズに通ってもらうというゴールを目指すためには、必要な時間だと思います。焦らずに取り組んでみてください。

【まとめ】自粛明け、デイサービスに行くのを嫌がるときには?

  • 嫌がるのは特別なことではないと受け止める
  • 焦らずに、少しずつ再開する

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