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久々の帰省 親が老け込み別れ際に涙 同居が必要?【お悩み相談室】

出掛けるひと

社会福祉士の川島豊輝さんが、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.新型コロナウイルスの影響で、80代の両親が暮らす実家になかなか帰省できず、先日約2年ぶりに帰省しました。2人とも目も耳も悪くなって、老け込んでしまい別れ際には母に泣かれてしまいました。自宅に呼び寄せるべきか、悩んでいます(55歳・男性)

A.お母さんは、なぜ泣いたのでしょうか? 息子と離れるさみしさで泣いているのであれば、こまめに連絡などして、つながっていることを大切にした対応で、お母さんのさみしさは和らぐかもしれません。それでも次に会ったときは、また別れ際に泣かれてしまうかもしれないですね。息子としてお母さんに泣かれるのはつらいかもしれませんが、会えたときの笑顔を求めて、感染対策に留意しつつ会いに行く、連絡を増やすなどしてほしいと思います。

「帰らないで」と言うなど、不安を抱えているような泣き方であれば、心配ですね。ご実家の中で何か起きているのかもしれません。連絡をとって「この間泣いていたけど、どうした?」「自分にできることはある?」と聞いてみるといいと思います。

呼び寄せるべきかどうかについては、ご両親の希望次第だと思います。お父さんとお母さんの希望が異なる可能性もありますし、これを機会に今後のことを話し合ってみるといいでしょう。自宅に呼び寄せて一番安心するのは、相談者自身であり、ご両親にとって引っ越しは大きなストレスになります。環境が変わることによる精神的なダメージは、高齢になるほど大きくなる傾向があります。ストレスが大きいとうつ傾向になったり、認知症のような症状が出たりすることもあるでしょう。

そうしたことを踏まえたうえで、自宅に呼び寄せるかどうかは悩み続けるものかもしれません。また呼び寄せるのであれば、ご両親にどのように生活してもらうのかを具体的にイメージしておくことが大切です。日中はご両親2人だけになってしまうとしたら、心配ですよね。

「老け込んだ」ということですが、2年ぶりの再会だったからこそ、ご両親の老いを感じやすかったのかもしれません。半年に1回程度会っていれば、気にならなかったかもしれないですよね。そうした状況を客観的にみることも大事だと思います。

【まとめ】2年ぶりに帰省したら両親が老け込み、別れ際に母が涙。自宅に呼び寄せるべき?

  • 母の涙がさみしさによるものなのか、不安からくるものなのか推察する
  • 高齢での引っ越しは精神的ダメージが大きいことを理解したうえで、どこで暮らしたいかを両親それぞれに確認する
  • 呼び寄せる場合はどのように生活してもらうのか、具体的にイメージしておく

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