なかまぁるクリップ

認知症当事者と家族のwithコロナ 生活を変えないとダメ?

タブレットを使う人のイメージ

新型コロナウイルスの影響でさまざまな活動を制限されてきましたが、ようやく緊急事態宣言の解除が発表されました。しかし、ウイルスとの戦いが終わった訳ではありません。今度は「新しい生活や習慣」を築く、その入り口に立たされています。介護する人々にはどのような変化が求められているのでしょうか。

介護をしている人必見! コロナとの戦い方、向き合い方

ウイルスの感染拡大を予防するための「3密」(密閉、密集、密接)を避けるのは、入浴や食事介助など密なコミュニケーションが必要とされる介護の世界では難しいものがあります。認知症の人の介護“ならでは”の難しさもあるらしく、「認知症の人と家族の会」代表理事の鈴木森夫さんは、「認知症の人は、周りの雰囲気や空気感を敏感に感じ取るような傾向があります。今は新型コロナの影響で社会全体に余裕がなくなり、ピリピリしていますよね。慌ただしいというか、殺伐とした雰囲気というか。その空気をキャッチして、認知症の方々も、言葉にはしないけれどすごく不安を抱えておられると思います」と話します。

全世界が未知のウイルスと戦うこの難局を乗り越えるべく、同会が加盟する国際アルツハイマー病協会(ADI)が「新型コロナ~認知症の人を介護している方へ~」と「認知症の方 ご本人へ」という資料を発表しました。

国際アルツハイマー病協会(ADI)が「新型コロナ~認知症の人を介護している方へ~」という資料を発表しました。これは“新型コロナウイルスとの向き合い方”です。やってみることは、電話やビデオ通話を使って定期的に連絡をとることや、手洗いを忘れないように家のあちらこちらに貼り紙をすること、定期的な運動を心がけることなどです。避けることは、脅かすような方法で手洗いを強要したり、無理やり人との距離を取らせることなど、不要なニュースやメディアからの情報を知らせること、睡眠の問題を引き起こす可能性がある予定外の昼寝や長時間の睡眠などを挙げています。
国際アルツハイマー病協会(ADI)が作成した資料をもとに、「認知症の人と家族の会」の国際交流専門委員会が日本語に意訳したもの。

これは“新型コロナウイルスとの向き合い方”です。
手洗いやうがいなど感染予防はもちろんのこと、重要なのは不安をあおりすぎないことだと鈴木さんは言います。
「過剰に情報を得ないこと、振り回されないことが、もっとも重要です。テレビはコロナのニュースばかりですし、スマートフォンの普及もあり、いつどこにいても多くの情報が気軽に見られますよね。ただ問題は、その情報が本当に正しいのかという質の部分と、情報に触れすぎて過剰に不安に襲われてしまうことです。
いつもと違う今の状況で認知症の人が混乱してしまった時に、介護している人も情報過多で不安定になってしまっていては、フォローは難しいはずです。
ワイドショーのコメンテーターの意見を鵜呑みにしたり、闇雲にネットサーフィンしたりするのではなく、たまには情報源を制限してもいいかもしれません。これもまた自分自身を安定させる一つの術ではないでしょうか」

目まぐるしく情報の波が押し寄せる今だからこそ、その量を適度に調節してみるのも今の時代に必要な情報リテラシーなのかもしれませんね。

変わった世界を嘆くのではなく、今を充実させるための工夫が肝心!

そして「認知症の方 ご本人へ」にも書かれているように、毎日の日課をできるだけ続けることが大切なのだそうです。
しかし、いまは新型コロナの影響で非日常の状態です。適度な距離は守りつつ、これまでの日常を維持することが大切です。

国際アルツハイマー病協会(ADI)が「新型コロナ~認知症の方 ご本人へ」という資料を発表しました。毎日の日課をできるだけ続けることが大切です。できる限り日課を続けること、親しい人と電話やビデオ通話で話すこと、「食べるときには手を洗おう」という貼り紙などをして手洗いを忘れないようにすることなどが「やってみよう」の項目に挙げられています。
「新型コロナ~認知症の人を介護している方へ~」と同時に発表。同じく「認知症の人と家族の会」が日本語に意訳している。

「人と人を遠ざけるコロナウイルスは、出会いや話す機会を奪っていきます。孤立しがちな認知症の人、そして家族をつなげてきた私たちの取り組みの原点である交流の場『つどい』も開けません。ただし、同じく活動の柱である『電話相談』と『会報』の発行は止めるわけにはいかないと、交代で電話口を守り、会報を作って送っています。仲間がどうしているか案じて、電話で尋ねる活動もしています。
一方で、ビデオ通話などネットを使って対話する試みも始まっています。直接会えなくても悩みを話し、正しい情報の交換をしましょう。私たちも今後、認知症の介護はどうあるべきか、どうコロナウイルスと折り合いをつけていくか、ICT(情報通信技術)を使った工夫も取り入れながら模索していきます」(鈴木さん)
「認知症の人と家族の会」は、孤独で不安な日々を送る全国の仲間にインターネットの動画を通じて「あなたはひとりじゃない」とメッセージを送る取り組みを始めました。なかまぁるでもお馴染みの丹野智文さんからのフォトメッセージをはじめ、同会理事で脳神経内科医の川井元晴先生からのメッセージなどが公開されています。
川井先生は、コロナウイルスの影響で外出や面会が制限される状況が続く中で、3つの「ない」について、その大切さを説明しています。

【3つの「ない」】

  • 一人にならない、一人にしない
  • 不活発にならない
  • 体調をくずさない

「孤独はうつうつとした気分になるだけでなく、認知症の悪化も招きます。そして認知症の人は、ご自身で体調の変化に気付くことが難しいので、検温や体重、血圧や食事、また行動の変化に気を留めていただきたいです」と川井先生は話します。
たとえば運動など当たり前のことを当たり前にする大切さは、心の安定をもたらしてくれます。
今後も人と接する際には一定の距離が必要になるでしょう。新しい生活の中で無理をせずに何ができるのか。コロナウイルスの第2波、第3波を抑えながら毎日を充実させる工夫が求められています。

また、認知症に関わる全国的な組織活動を展開している当事者団体「認知症関係当事者・支援者連絡会議」が、YouTube内に公式チャンネルを設立しました。コロナ禍で様々な不安を感じている人に向けて、毎週月曜日に「Webでつながる情報発信番組」の配信を始めています。知りたいことや不安に思っていることの解決につながるかもしれません。

公益社団法人 認知症の人と家族の会 ロゴ
公益社団法人 認知症の人と家族の会
「認知症になっても仲間がいる、介護でつらい思いをしているのは自分だけではないとの思いを力に、仲間や支援者とつながり、孤立することなく、認知症とともに生きること」が理念。
47都道府県の各支部で「つどい」「会報」「電話相談」の3本柱の活動を進めるとともに、認知症への理解を広める啓発活動や行政への要望や提言も行っている。http://www.alzheimer.or.jp/

「コロナ禍を生きぬく~認知症とともに」 の一覧へ

あわせて読みたい

この記事をシェアする

この連載について