老人ホームに就職 勤務が不規則で続けていく自信がない【お悩み相談室】
構成/中寺暁子

認知症介護指導者の久保圭司さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。
Q.高齢の方と話すのが好きなので、福祉の大学に行って介護福祉士の資格を取得、老人ホームに勤務して1年になります。利用者の方との交流は楽しいのですが、人手不足や不規則なシフトによる負担が大きく、すぐに体調を崩してしまいます。休むと迷惑をかけますし自分に向いていないのではないかと悩んでいます(20代・女性)
A.率直に感じたのは、相談者のような方が介護職を辞めてしまうのは、介護業界にとって大きな損失になるということです。「利用者の方との交流は楽しい」というのは、何よりこの仕事が向いている証です。
まずは負担を軽くできるように、シフトなどについて今勤務されている事業所に相談できるといいですね。ただ、人手不足などの現状からそれが難しい、あるいは言い出しにくいといった場合は、ほかの形態の介護施設に勤務することを検討してはいかがでしょうか。例えばグループホームは、基本的に身体の状態が安定している利用者向けの施設で、少人数なので、介護職の負担は今よりは軽く感じるかもしれません。夜勤がきついということであれば、デイサービスや訪問介護といった選択肢もあります。
ただし、いずれにしても体力は必要です。私自身、年齢的に体力が落ちてきたことや疲れやすくなったことを感じることがあり、最近はジムに通って筋トレをしています。介護はしゃがんだり、かがんだりする場面が多いですが、そうした際に筋力がついたことで疲れにくくなったことを実感しています。また、ジムに行った日はよく眠れますし、ストレス解消にもなっていると感じます。
相談者は体調を崩しやすくなっていることで自信を失い、その不安やストレスから眠れなくなるといった悪循環に陥っているかもしれません。社会人になってまだ1年ですから、体も慣れていないと思うので、体力づくりのためにも無理のない範囲で体を鍛えることをおすすめします。体力がついてきたのを実感できると、自信もついてくるはずです。
介護職は歴史が浅いですし、一人ひとりに合わせたケアが必要なので、マニュアルのようなものはありません。私自身はそこにやりがいを感じますし、利用者の方とコミュニケーションをとるのが大変なこともありますが、いつも怒っている方が笑顔になってくれると、喜びを感じます。チームで一緒に取り組んでいけることも仕事の楽しさにつながっています。
利用者の方との交流を楽しめるというのは、誰にでもできることではありません。相談者が負担なく介護職を続けられる方法を見つけてほしいと思います。
【まとめ】老人ホームに勤務して1年、すぐに体調を崩してしまい、向いていないのではないかと悩むときには?
- 利用者との交流を楽しめる人は、介護職に向いているので自信を持つ
- 負担が軽くなるように勤務先にシフトなどについて相談する。それが難しければ、グループホームやデイサービスなど、ほかの形態の介護サービスで働くことを検討する
- 筋力をつけるなど、体力づくりに取り組む
≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました≫
