どうか私を忘れないで…コロナで会えない不安 あなたらしさが私の道しるべ
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
急にすすんだ、認知症。
私こそ、あなたを見失いそう。
あなたらしさが、私の頼り。
祖父は晩年、私をすっかり忘れていました。
しかし「誰だっけ?」と私に問うことはありませんでした。一度も。
まるで初めて会う人にするように、
10代の私に敬語で話しかけていました。
それはとても祖父らしい、気配りに感じました。
コロナウィルスの影響で、高齢者施設や病院で面会禁止が続いています。
「このままだと、高齢者本人に忘れられてしまう」と、ご家族の不安も聞こえてきます。
その痛切な思いは計りかねますが、
でももし、なにかお伝えできるとしたら、
万が一、認知症が進み、忘れられたとしても、ご本人らしさは必ず残されている、ということです。
そしてそれは、私たちがご本人を見失わないための、道しるべになってくれるはずです。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》