高齢ならワクチン接種は当たり前?打つ人打たない人それぞれの人生観
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
誰もが、ほっとしたように
僕に声をかけてくれる。
「ワクチン接種が済んで、良かったですね」って。
けれど。
老いた体に、新しい薬をいれる不安。
若い君たちに分かるだろうか。
それでも、自ら接種を選んだのは。
また、あの時間を取り戻したいから。
私はどこかで「高齢者の新型コロナワクチン接種が広がれば、ひとまず社会は落ち着くかもしれない」と期待していました。
そして、実際に多くの高齢者の方々が、ワクチンを接種してくださっています。
けれど、そうした期待には、高齢の方々、一人ひとりへの配慮が欠けていたと気付きました。
なぜなら昨日、
ある高齢者から「僕はね、ワクチンは打たないんだ」と打ち明けられたからです。
理由を伺うと「痛いじゃないか」と冗談めかしながら、
「長年の仕事を終え、今ようやく人生の充実期にあるんだよ」と話されました。
今この時が、一番楽しい、と。
本意はわかりませんがそれが、その方なりの「打たない理由」だったのかもしれません。
ワクチンを接種する方も、
しない方もいらっしゃいます。
そこに差別があってはいけません。
ワクチンの接種ひとつにも、
その方だけの理由や人生観があるのだから。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》