外された胸の名札 その気遣いは誰のため? まずは本人に聞いて欲しい
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
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認知症の私に
「疎外感を与えないように」と
誰もが気遣ってくれる。
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ある日いつもの通いの場で
「施設のようだから」と、
胸の名札が外された。
名前を覚えるのが苦手な私は、友達を呼べなくなった。
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私の居心地を決めている、あなたは誰?
私に、聞いてほしい。
私のことは私に決めさせて。
認知症や障害を持った人たちが、
疎外感を感じずに、
共にいられるように。
そんな社会への視点を、
福祉に携わるわけでもない
友人知人からも聞くようになりました。
これ、すごい変化だと、思いませんか?
でも少し、意地悪な見方をすれば。
今まで私たちが
自分とは違う、と判断した人を
当たり前に追いやってきたことへの、
反動なのかもしれません。
だから思い出すのです。
マンガにとりあげた、名札の一件を。
人は優しく、時に与えたがりです。
今、私がしようとしていることは
誰の望みか、を
立ち止まり、考えています。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
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