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出した麦茶を捨てる義母 熱中症予防はどうすれば?【お悩み相談室】

やかんから注がれる麦茶

地域包括支援センターで高齢者の相談に応じている山口明子さんが、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.認知症の義母(82歳)を自宅で介護しています。あまり水分をとらず、熱中症が心配なので、こまめに麦茶を出すようにしています。ところが、先日こっそり流しに捨てているのを見てしまいました。いつもそうしていたようです。どうしたらいいのでしょうか。(53歳・女性)

A.高齢者は暑さを感じにくく、水分をとらない傾向があるので、室内でも熱中症にかかりやすいと言われています。このため、こまめに麦茶を出すようにしているのは、とてもいいことだと思います。

麦茶を「こっそり」捨てていたとのことなので、お義母さんは気をつかっているのでしょうね。認知症の人はコミュニケーションがうまくとれないことがあり、口頭で「飲みたくない」「飲めない」ということを伝えられず、捨てるという行動に出てしまっている可能性もあります。

お義母さんが麦茶を飲みたくない、飲めない理由がわかれば、対応もみえてくるのですが、なにより大事なのは、水分をとってもらうことです。まずはいろいろとトライしてみるのがいいと思います。

可能性の一つとして考えられるのが、麦茶の味が今のお義母さんに合わないということ。高齢になると、味の好みの偏りが、若いころよりも強くなることがあります。特に甘くて濃い味を好む傾向があるので、甘い飲み物のほうがいいのかもしれません。私の周りでも、意外と炭酸飲料を好む高齢の方が多い印象があります。

またのみ込む力が衰えて、さらさらとした水分をうまく飲めないというケースもあります。この場合はゼリー状の飲料や葛湯などとろみのあるものや、スイカなどの果物などから水分補給するのがおすすめです。

認知症の行動や心理症状の一つとして、飲まないケースも考えられます。認知症がある程度進むと、“もの盗られ妄想”に代表されるような被害妄想がみられることがあります。「麦茶に毒を入れられたかもしれない」と妄想して、飲まない可能性もあります。特に近しい人を加害者だと妄想する傾向があるので、相談者ではない別の家族やヘルパーに飲み物を出してもらうようにすると、飲めるかもしれません。相談者が飲み物を提供するだけではなく、目の前で一緒に飲むのもいいでしょう。

高齢者は一度にたくさんの水分をとれないことがあるので、お義母さんはもしかしたら、一口くらいは飲んで、残った分を捨てているかもしれません。確かに衛生的には残した麦茶を長時間置いておくのはよくありません。熱中症対策としては、一口飲むだけでも意味があると言われています。お母さんは麦茶に全く口をつけていないのか、多少は飲んでいるのか、よく観察してみてください。

私が勤務している地域包括支援センターには最近、「軽い熱中症になったから少し休ませてほしい」と高齢の方が訪れるなど、やはり暑くなるにつれて熱中症になる方が増えているなと感じています。水分補給のためのいろいろな方法を試してみて、暑い時季を無事に乗り切れるといいですね。

【まとめ】認知症の義母が麦茶をこっそり捨ててしまうときには?

  • 麦茶ではなく、甘い飲み物やとろみのある飲み物などを試してみる
  • ほかの人に飲み物を提供してもらうようにする

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