コロナで引きこもった結果 認知症とうつの症状がでました【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
地域包括支援センターで高齢者の相談に応じている山口明子さんが、認知症の様々な悩みに答えます。
Q.2人暮らしの両親は、新型コロナウイルスの影響もあり引きこもっています。父(78歳)は診断を受けているわけではないですが、軽い認知症のような症状があります。最近毎日のように、母から父のおかしな言動がメールで送られてきて、母自身は「疲れた」「うつっぽい」「死にたい」などと言います。どうしてあげたらいいでしょうか。(45歳・女性)
A.とても心配な状況ですね。相談者にお母さんの気持ちが伝わっているのはいいことですが、地域にもお母さんが気持ちを吐き出せるような場所があるといいと思います。まずは、お母さんがお住まいの地域包括支援センターで相談してはいかがでしょうか。お母さんが直接相談するのが難しければ、相談者が電話で相談してみてもいいと思います。
地域包括支援センターには、多くの場合「認知症地域支援推進員」といって認知症の医療や介護についての専門的な知識や経験をもつスタッフが配置されています。こうしたスタッフが自宅を訪問して、支援サービスの紹介など、さまざまな相談にのってくれると思います。
地域で開催されている認知症カフェや認知症の家族を抱える人のための家族会などは、認知症と診断されていなくても参加できます。認知症カフェは、本人や家族のほか、介護や医療の専門職が参加していて、悩みを打ち明けあったり、情報交換したりするほか、会が終わったあとなどに、専門職に個別に相談することもできます。緊急事態宣言の発出中はこうした会も開催できないことが多いですが、一度参加しておくと関係性ができるので、開催できない期間も主催者は手紙や電話でやりとりするなど、気にかけてくれると思います。会で知り合った人と近所のスーパーでばったり会って立ち話をする……、それだけで気持ちがラクになることもあるのではないでしょうか。
認知症と診断を受けて、介護保険サービスを利用すると、自然と関わる人は多くなります。認知症の専門医を受診するのも一つの方法です。
何より心配なのは、ご両親が孤立することです。新型コロナウイルスの感染が心配で外出しにくいお気持ちもわかりますが、今のご両親の状況は急を要する事態かもしれません。早めに地域包括支援センターなどに連絡して、近くに相談できる場所を持ってほしいと思います。
【まとめ】両親が新型コロナウイルスの影響で引きこもり、父は軽い認知症で、母は精神的に追い詰められていて心配なときには?
- 地域包括支援センターの認知症地域支援推進員などに相談する
- 地域の認知症カフェや家族会などに参加して、相談先を多く持つようにする