新米スタッフ奮闘記@品川~BLGの活動報告

認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、東京都品川区にあるBLG品川(けめともの家・カンタキ西大井 看護小規模多機能型居宅介護)からの報告です。
こんにちは。BLG品川の飯盛です。
介護ケアスタッフとして働き始めて約8ヶ月、前職は事務系サラリーマン。定年退職後にこの世界に入りました。母を在宅介護した7年の経験から何となくわかっていたつもりでしたが、今まで以上にハードワークで体はくたくた。知人からは「なんかやつれたね、心配だわ」と言われる始末。
いやいや、自ら選んだ道なんだもの、弱音は吐きません。知らない世界に飛び込み、初めての体験に驚きながら、歳が半分以上も若い先輩方の背中を見つつ学んでいる今日この頃。
これまでのメンバーさんとのエピソードについて、ご紹介していきましょう。
第1章 うそも方便
なかなかお薬を飲んでくださらないSさんから「結構です、あなたが飲みなさい!」と薬袋を突き返され、あれこれ言い換えて話しかけてもダメだったので、(飲んでいただけないわ)と諦めて引き下がってしまった時、「ねぇ、Sさん、これね~美人になる薬なのよね~、飲んでみない?」という先輩の誘い文句に「あら?! そうなの? じゃあ飲んでみようかしらね」と見事成功?
体調に関わることなので、服薬介助は大事な仕事です。時にはウィットに富んだかわいいうそも必要なんですね。
第2章 急がば回れ
訪問対応させていただいているAさん。気難しい方だと聞いており、どうしたら彼女のふところに入り込めるか思案し、やってもらいたいだろうな~と思ったことを行動に移したら、「そんなことしなくていいっ!」と怒られ、どうして欲しいか何度も聞き返していたら「ごちゃごちゃうるさいこと言わないでよ、頭が痛くなっちゃう」と、ご機嫌を損ねてしまい、すっかり萎縮してしまいました。
職場に戻って話をすると、看護スタッフの方が、「私も怒鳴られたことあるわよ~」とおっしゃり、私だけじゃないんだなと少し安心しました。焦らず、ゆっくり時間をかけて関わって行くことで信頼が生まれ、今では帰り際に「もう帰っちゃうの? 寂しいわね、次もまた来てね」と握手をして、離れがたい仲になりました。

第3章 あの手この手
お風呂にお誘いするのは入浴担当だけではありません。入浴前のトイレ誘導~お風呂に入る気にさせる~入浴後の水分補給など、スタッフの連携プレイが必要です。一番難しいのが、不穏になりそうなメンバーさんにお風呂に入る気になっていただくこと。不穏になってしまうとスタッフが近寄れなくなってしまうこともあります。
「今日はお風呂の日ですよ~」と事務的に言ってみたり、「ひとっ風呂浴びてこない?」「そこに良い温泉があるから行ってみない?」と、何人かでアプローチしてみたりしてもダメなときがあります。
そんな時「こういうときは息子さんのような男性が誘うと良いかもしれない」と、男性スタッフが誘ってみると、あらあら手を引いて風呂場の方に向かって行くではありませんか。但し、お風呂場まで行っても急に「もう、いや!」と出てきてしまうこともあるし、今日は大丈夫かな、と身構えて誘うと、「はい、入りましょ」と、逆に拍子抜けしてしまうこともあって、あの手この手も要らない時もあるのです。
第4章 その日一日を楽しく過ごしてもらいたい…これからの課題
メンバーさんに「来て良かった」「また来たい」と言っていただける一日だったろうか、と思い返すと、「同じテーブルの方との会話がうまくできないメンバーさん同士が、楽しんでいただけるような事を自分はしたのだろうか」、「いや、何もできなかった、しなかった」ということが多いです。メンバーさん1人1人を楽しませる方法・手段がまだよくわからないのです。メンバーさんごとに体力・身体的な事を考えなければいけないし、同じ事を一緒に楽しむことが困難な場合もあります。
自宅なら休みたければ休めるし、テレビを独り占め、本を読むなど好き勝手ができるでしょう。意外にみなさんご自分の趣味のものを持って来られません。あるいはそういうものが無いのかもしれません。ご家族のレスパイトケアのためにご自身の意志に反して来られている方もいらっしゃるかもしれない。皆さんに有意義な1日を過ごしていただける環境作りを目指して努力していきたいです。

