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コロナ心配だから家を出るなと娘。78歳夫の物忘れが悪化【お悩み相談室】

看護師の石橋さつきさんが、介護・支援活動を生かして、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.夫(78歳)と2人暮らしですが、娘家族が近所に暮らしています。新型コロナウイルスが流行してから、高齢の私たちを心配した娘に「外出しないように」ときつく言われています。孫にも会わせてくれません。そのせいか最近夫はボーっとしていることが多く、もの忘れもひどく認知症っぽいです。心身の健康のためにも少しくらい外に出たり、気を付けながら孫と会ったりしてもいいのではないかというのですが、娘は聞く耳をもちません。(72歳・女性)

A.人と会うことは何よりの刺激になりますから、娘や孫と会えないのは、つらいですよね。ただ、今の状況では娘の言う通り、直接会うのは控えたほうがいいと思います。離れていてもテレビ電話などで顔を見ながらコミュニケーションをとれるので、夫の状況を伝えつつ、娘に相談してみてはいかがでしょうか。

「外出しないように」とはいっても、散歩程度なら問題ないはずです。人が少ない時間帯をねらって、大きな公園に足をのばしてみるのもいいですね。ぜひ相談者から夫に声をかけて、誘ってみてください。デイサービスなどの施設は感染対策を徹底しているはずなので、こうした場に夫婦で顔を出してみるのもいいかもしれません。動画配信サービスなどの簡単な体操を夫婦で習慣にするのもいいと思います。

注意しなければならないのは、「引きこもっていたから認知症っぽくなった」と勝手に判断してしまうこと。確かに認知症の一歩手前の状態である「軽度認知障害(MCI)」の可能性もありますが、夫の様子からだと、老年期うつ病も疑われます。老年期のうつ病は高齢者に多い身近な病気で、加齢による脳の変化や環境などによって発症します。うつ病は適切な治療を受ければ治る可能性が高い病気です。
いずれにしても大切なのは、正しい診断を受けること。「今まで習慣的にしていたことをやらなくなる」「活気がなくなる」「悲観的なことを言う」といった状態が続いていたら、まずはかかりつけ医に相談してみてください。うつ病ではなく、MCIと診断されたとしても、対策をとることで認知症に進行するのを防ぐことができます。

いきなり病院を受診するのはハードルが高いということであれば、地域包括支援センターでも相談にのってくれます。夫の様子を把握しているのは相談者だけなので、不安も大きいと思います。1人で抱え込まず、娘や地域の相談員に相談してください。

【まとめ】外出できず、孫にも会えず、夫が認知症になったかもしれないときには?

  • 孫とはテレビ電話などでコミュニケーションをとる
  • 感染対策をしつつ散歩や公園に出かける
  • 認知症と決めつけず、医師から正しい診断を受ける

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