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コロナ対策がうまくできない認知症の夫 怒り出すときも【お悩み相談室】

洗面所で手を洗う男性のイメージ

若年性認知症コーディネーターの中村益子さんが、介護・支援活動を生かして、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.認知症の夫(82歳)と2人暮らしです。新型コロナウイルスが心配ではありますが、昼間はデイサービスに通っています。感染対策のために帰宅後は手洗いや着替えを徹底させたいのですが、うまくできずに毎回怒り出すので疲れてしまいます。(80歳・女性)

A.感染が不安な中でデイサービスに通うわけですから、感染対策は万全にしたいですよね。確かに大事なことなのですが、相談者の「早く手を洗わなきゃ、着替えさせなきゃ」という焦りが、夫に伝わってしまっているのが現状かもしれません。夫はデイサービスから帰ったばかりで疲れているうえに、妻からせかされているように感じてうまくできず、毎回怒り出してしまうのではないでしょうか。このままだと、デイサービスに行くのをいやがるようになるのではないかと心配です。

認知症の方に対しては、「徹底させる」「完璧にやる」といった考えは、捨てたほうがいいかもしれません。そうしないと、ご家族が追い込まれてしまい、それが本人にも伝わってしまいます。今は、デイサービスでも感染対策をしっかりしていると思います。帰宅後すぐに手洗いと着替えをさせようとせずに、まずは「お茶にしましょうか。その前に手を洗いましょう」と言って手洗いだけすませ、おやつや果物を少し食べてから着替えを促すのはいかがでしょうか。夫が好きなおやつを用意しておくのもいいかもしれませんね。

私が運営している若年性認知症サロン「さろ~んパス」では、認知症の本人や家族と料理を楽しむ会を開催しています。感染対策のための手洗いやマスクをいやがるのではないかと心配していましたが、みなさんスムーズにしっかりと手洗いをしていました。やはり楽しみなことがあると、手洗いもすすんでしてくれるんだなと感じました。夫にも気持ちよく手洗いや着替えをしてもらえるように、工夫できるといいですね。

【まとめ】夫が手洗いや着替えをうまくできず、怒り出すときには?

  • 完璧にやろうとしない
  • お茶に誘ってから手洗いや着替えを促すなど、楽しみなことを用意する

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