認知症を会社に告白。仕事を続けたいが休職を勧められた【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
若年性認知症コーディネーターの中村益子さんが、介護・支援活動を生かして、認知症の様々な悩みに答えます。
Q.若年性認知症と診断されたことを会社に伝えたら、しばらくは休職するようにと言われました。自分としては一度休んでしまうと復帰する自信がないので、このまま続けたいのですが、上司が納得してくれません(50歳・女性)
A.休むように言われても、「これから先はどうなるのだろう」と不安になるお気持ちはわかります。休職をすすめる上司にも何か理由はあるのでしょう。働き盛りの世代で発症しやすい若年性認知症の人にとって、就労は大きな課題です。相談者のような場合は、若年性認知症コーディネーターに相談するのがいいのではないかと思います。若年性認知症コーディネーターは、若年性認知症の人の自立支援に関わる関係者のネットワークの調整役として、各都道府県に1人以上配置されています。具体的には、若年性認知症の人やその家族が交流できる居場所づくりや若年性認知症の特性に配慮した就労・社会参加支援などを担います。
相談者のようなケースだと、若年性認知症コーディネーターが主治医と連携したうえで、会社に直接出向いて、上司に交渉することも可能です。認知症については誤解されていることも多いので、まずは認知症になると何もできなくなるわけではなく、できることとできないことがあること、どのように進行していくのかといったことを説明します。そして若年性認知症になっても、担当業務を見直してもらったり、配置転換してもらったりしたことで仕事を続けられた人の事例を紹介します。
若年性認知症コーディネーターは2015年から全国に配置されていますが、まだ存在を知らない方も多いようです。地域の若年性認知症コーディネーターは、自治体の認知症相談窓口などで紹介してもらえるので、ぜひ相談してみてください。そのほか、地域に若年性認知症に理解のあるケアマネジャーなどの専門職がいれば、相談されることもおすすめします。
私自身も福岡県の若年性認知症コーディネーターとして活動しています。私の経験では、職場の中でよき理解者がいる人は、若年性認知症になっても仕事を続けられる傾向があります。ご自身も働き続けたいという意思を上司に伝えることが大事です。一人でがんばりすぎず、サポートしてもらいながら、できるだけ仕事を続けられるといいですね。
【まとめ】仕事を続けたいのに休職するように言われたときには
- 地域の若年性認知症コーディネーターに相談する
- 職場内によき理解者を見つける
- 働き続けたいという意思を上司に伝える