見つめて、見つめ返して、心の会話が始まる。マスク越しの今だからこそ
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
そしてあなたと私の、心の距離は離れた。
私があなたを見つめ、あなたが見つめ返して、ようやく始まる、心の会話。
あなたと視線が重なるまで、私は待つ。
マスクが、目以外の表情を隠しがちな今、
アイコンタクトの重要性を感じます。
アイコンタクトは、高齢者を主体にして関わることの基本です。
アイコンタクトは「目を合わせる」という、お互いの重なりがないと成立しません。
つまり、こちらが一方的に見ただけでは、アイコンタクトとは言えないのです。
思えば私は、せわしない介護時、
あえて笑顔をつくることで、高齢者に不安を与えないようにしていました。
けれどそれは、私本位の関わりでしかなかった、と今は思います。
なぜなら、相手の目の奥にある、今ある感情を見ようとせず、私の一方的な笑顔だけを押し付けていたからです。
コロナ禍を過ごし、アイコンタクトの「視線が返ってくるまでの、待つ時間」を思うとき、
未来にどんなケアが必要か、見えてくるようです。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》