若き日のあなたが、真っ白だった僕に大切な思い出を書き込んだ。そしていま
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
また僕を開いてくれましたね。僕は一冊のノート。僕には、あなたの好きな花、苦手な食べ物、大切な思い出…なんだって書いてありますよ。
だって、僕を書いたのはあなた。認知症になる前の、若き日のあなた。真っ白だった僕を、あなたはエンディングノートにしてくれた。
若いあなたの手から、今のあなたへ僕は託された。僕を生かしてくれて、ありがとう。あなたがあなたを忘れても、僕がずっと覚えているよ。
一般に「エンディングノート」とは、高齢の方が人生の締めくくりに、ご自身の希望などを記録しておくもので「終活ノート」とも呼ばれます。
作り方は多様で、書店やインターネットでも簡単に調べられます。
私は機会があり、このエンディングノートを 作ったことがあります。
その際、このノートは自分が認知症になった時にも頼りになるな、と感じました。
例えば、もし認知症で、自分らしさを見失いそうになった時、この一冊が自分への勇気づけにもなってくれるでしょう。
そしてなによりエンディングノート制作で、自身の締めくくりを思うことは、私自身、 日々のかけがえのなさに気づく体験となりました。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》