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コロナで面会不可 認知症の父は理解できているでしょうか【お悩み相談室】

施設にいる認知症の父のイメージ

居宅介護支援(ケアマネジャー)の市川裕太さんが、介護経験を生かして、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.認知症の父(79歳)が半年前から施設に入居しているのですが、新型コロナウイルスの影響で、面会ができません。父は、私が子どもたちを連れて面会に行くのを楽しみにしてくれていたので、面会できない理由を理解できているのか、不安を感じているのではないか、家族の顔を忘れてしまうのではないかと心配でたまりません。(51歳・女性)

A.現在、特別養護老人ホームやグループホームなどの施設は、入居者と施設スタッフ以外の出入りは禁止になっていることがほとんどです。さらに“3つの密(密閉空間、密集場所、密接場面)”を避けるため、集団でのレクリエーションは中止、食事は距離を開けたり時間をずらしたりする、働くスタッフの数を最小限にするなど、感染予防のために施設内での生活もさまざまな制約や影響が出てきているようです。
仮に、認知症の人がいる施設で感染者が発生した場合には、クラスター感染を防ぐのはとても難しいことです。マスクをする習慣がない人は違和感によってすぐに外してしまったり、転倒のリスクなどで部屋に完全に隔離することが難しかったりする人もいますので、非常に怖い状況に陥ることが考えられます。この新型コロナウィルスの場合は、感染が発生した場合のとるべき措置が従来とは変わるかもしれません。感染の広がりや命を守ることが最優先となり「身体拘束」など、やむを得ない対応を取らざるを得ない状況にもなり得ると考えてしまいます。だからこそ、入居者の命と尊厳を守るために感染予防を徹底することが、施設にとっての最優先事項だという現状をまず理解しなればなりません。

面会できないことに対するご家族の心配や不安の声は、私のもとにも届いています。しかし、面会自粛を徹底することが感染を防ぐために家族ができる一つの手段なのです。
また、この状況のなか電車などで通う職員もいますが、いつも通りの生活をしている認知症の人のため、また介助がなければ生きていくことができない状態の人のため、働かなければならない状況でもあるのです。
ただ、面会できなくても、現在はテレビ電話などを使用してコミュニケーションをとれるので、ぜひこうした状況だからこそ新しいコミュニケーション手段を活用してほしいと思います。もちろん手紙やハガキ、写真を送るなど、これまでの手段を使ってやりとりできることもあると思います。お父さまはお孫さんとの面会を楽しみにしていた、とのことなので、お子さんの写真や手紙を送ると、喜ばれるのではないでしょうか。施設の職員も普段より多めに写真や動画を撮って、ご家族にメールなどで送るといった工夫をしているようです。

面会に行かないことで顔を忘れられてしまうのではないか、レクリエーションが制限され、人との関わりが減ることで症状が進行するのではないかというご心配はあると思います。各施設で症状が進行しないような工夫はしていると思いますので、どうか施設の対応を信頼して任せましょう。また、気になるときは、家族としてもどうしたらいいかを施設のスタッフに相談してみましょう。新型コロナウイルスはワクチンも治療薬もなく、終息のめどが立っていないうえに、高齢者は重篤化しやすいことがわかっています。社会的な面も含め、一日でも早く終息させることが認知症の進行をおさえる一番大切なことである、という理解を持たなければいけないのかもしれません。

【まとめ】施設に入居中の父に面会に行けず、心配なときは?

  • 今の最優先事項は感染予防だと理解する
  • テレビ電話、手紙などの方法でコミュニケーションをとる

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