コロナでデイサービス閉鎖 自宅介護と在宅勤務は無理?!【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
居宅介護支援(ケアマネジャー)の市川裕太さんが、介護経験を生かして、認知症の様々な悩みに答えます。
Q.認知症の母(83歳)が通っているデイサービスが、新型コロナウイルスの影響で一時的に閉鎖しています。ちょうど私も在宅勤務になったので、母が家に一人でいることはないのですが、やはり手がかかってしまい、仕事がはかどりません。仕事中に同じことを何度も話しかけられると、ついきつく言い返してしまい、お互いにストレスがたまっています。少しでも何かに集中してもらえる時間があるといいのですが。(55歳・女性)
A.新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言で、デイサービスやショートステイもご利用者の利用回数を減らしながら感染防止対策を行ったり、自主的に休業したりするところも出てきています。一方、一人暮らしの認知症の人にとってはデイサービスがライフライン(生きるために欠かせないこと)になっている方もいます。ただ、現在は新型コロナの感染防止対策の一環で、通所するのではなく、デイサービスのスタッフが自宅に訪問したり、電話で体調を確認したりして、形を変えてサービスを提供できる体制になっています。
相談者はこれまで介護サービスを利用しながら介護をしてきたのに、一時的にも四六時中介護が続く状況になるわけですから、ストレスが溜まっていることと思います。在宅で仕事もされているので、お母さまに少しでも何かに集中してほしいというのは、よくわかります。
1つの方法として、デイサービスのスタッフに家族の悩みをお話しして、お母さまはどんなふうに過ごすのか好きか、どんな役割をもっていたのかを聞いてみてはいかがでしょうか。集中できる時間をもつためのヒントになると思います。
単に好きなことをしてもらうのではなく、役割をもってもらうことで、より集中して充実した時間を過ごすことができます。とはいえ、家事を手伝ってもらうといっても、間違ったことをされると余計にご家族の作業が増えてしまいます。たとえば洗濯ものをたたむなど、簡単な作業なら、うまくできていなくても気にならないのではないでしょうか。
また、一時的に訪問介護や訪問リハビリのサービスを利用するという方法もあります。デイサービスに比べると時間は短いですが、少しでも介護をほかの人に任せられると、相談者も仕事に集中できる時間をもてるのではないでしょうか。ただし、認知症の人にとって知らない人が家を出入りすることは、さらなる混乱や不安を生むケースもありますので、ケアマネジャーにも相談してみてください。普段通っているデイサービスに頼めば、なじみのスタッフが訪問してくれるといった対応をとってもらえることもあるので、相談してみるのもいいでしょう。場合によってはオンライン(テレビ電話など)で顔を見ながら対応してくれるかもしれません。
お母さまもデイサービスで会っていたスタッフやほかの利用者に会えないといった環境の変化で、大きなストレスを感じていることと思います。いつもとは違った様子がみられたら、落ち着いて声をかけてあげてください。ケアマネジャーやデイサービスのスタッフなど、駆け込み寺はたくさんあると思うので、ご家族だけで抱え込まず、いつでも相談してください。
【まとめ】認知症の母がデイサービスに行けず、仕事がはかどらない
- デイサービスではどのような役割をもっていたのか、スタッフに聞いてみる
- 役割を与えて集中できる時間をつくる
- 一時的に訪問介護や訪問リハビリなどを利用する