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会話が成立しないのはストレスが原因?きつい物言いが心配【お悩み相談室】

濯カゴを抱えるひと

社会福祉士の川島豊輝さんが、認知症の様々な悩みに答えます。

Q. 母(75歳)は独身の兄(48歳)と2人で暮らしています。母は足が悪いので、兄が一緒に暮らしてくれて助かってはいますが、母に対して言い方がきつく「早くしろよ」「何でこんなこともできないんだよ」などと言います。最近は母と話すと、ストレスからか、会話が成立しないことが出てきました。私の話すことがうまく理解できないようで心配ですが、私の立場では何も言えません(46歳・女性)

A.「お母さんがかわいそう」「兄に変わってほしい」というお気持ちがあるかもしれませんが、ここはグッとこらえてほしいと思います。言い方を指摘してしまうと、言い合いになる可能性がありますし、お兄さんはますます妹に対して困りごとを話せなくなると思います。

お兄さんは、もともとお母さんに対して言い方がきつかったのでしょうか? それともだんだんきつくなってきたのでしょうか? 相談者が今心配しているということは、後者かもしれませんね。だとしたら、言い方がきつくなってしまうのは、理由があると思います。お兄さんは1人で足の悪いお母さんの面倒を見ているわけですから、ストレスは当然あるはずです。まずはお兄さんのストレスをくみ取ってほしいと思います。

例えば「足が悪いお母さんの面倒をみるのは大変じゃない?」「無理しないでね」「一緒に暮らしてくれてありがとう」というように、お兄さんに感謝し、がんばりを認め、お兄さんが抱えているストレスを聞き出すことが、妹としてできることだと思います。

お兄さんはもしかしたら、誰にも気持ちを吐き出せずに、孤立しているかもしれません。妹からのこうした声がけによって、お兄さんは味方や仲間ができたと感じられて、ストレスが軽くなっていくと思います。お母さんへの言い方も変わってくるかもしれません。また、お兄さんと良好なコミュニケーションがとれるようになると、一緒に介護保険サービスなどについて検討するなど、お母さんの介護に関する相談もスムーズにできるのではないでしょうか。

お母さんの会話が成立しなくなっていることが、ストレスからなのか認知症などの症状なのかはわかりませんが、かかりつけ医などに相談してみる必要はあるかもしれません。お兄さんがきつい言い方になってしまうのは、お母さんに言葉が伝わらずにイライラしてしまう、といった状況がある可能性もあります。「お母さんの会話、最近おかしいよね」といった話から、受診の相談などもお兄さんとできるようになるといいですね。

兄としては、妹に弱音を吐きづらいかもしれません。お兄さんが弱音を吐き出せるように、味方になってあげてほしいと思います。

【まとめ】足の悪い母と暮らす兄。母に対する言い方がきつく、心配なときには?

  • 兄が抱えているであろうストレスに配慮し、感謝やねぎらいの言葉をかける
  • そのうえで介護保険サービスやお母さんの最近の様子などについて相談する

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