デイサービスでコロナ陽性者 通えず父の生活が崩れた【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
作業療法士の野村和代さんが、認知症の様々な悩みに答えます。
Q.同居している認知症の父(80歳)はデイサービスに通っていましたが、そこで新型コロナウイルスの陽性者が出てからは、怖くて通えなくなりました。それ以来、朝なかなか布団から出てこなくて、生活リズムが狂っています。認知症が進むのではないかと心配です。(51歳・男性)
A.確かに生活リズムが崩れて、家族以外とは会わないとなると、認知症が進む可能性はあると思います。とはいえ、身近な人が陽性になったとなると、怖いと感じるお気持ちもわかります。
デイサービスなどで、新型コロナの感染者が発生した場合の対応については、厚生労働省から「都道府県などが感染拡大防止などの観点からの休業が必要であると判断した場合、その全部または一部の休業を要請される」といった事務連絡が出されています。つまり、お父さんが通っているデイサービスがすでに運用している場合は、その地域の自治体が運用しても問題ないと判断しているということでしょう。また、感染者が発生したのであれば、特にしっかりと設備の清掃や消毒もなさっているのではないかとも思います。
ただ、どうしても怖くて気が進まないということもあると思います。そこで、朝、デイサービスの迎えがくるのと同じくらいの時間に、訪問リハビリや訪問介護などを利用するのはいかがでしょうか? 新たなプランの見直しをケアマネジャーに相談してみるといいと思います。朝、決まった時間に起きて、他人を出迎えるために身支度をするということだけでも、生活リズムが整うかもしれません。
ところで、デイサービスに通う目的は、一般的に認知機能の低下などを防ぐことだけではなく、ご家族の事情によることもあります。たとえば、日中に介護者がいない、介護者の負担を軽減するといったことです。認知症の進行を心配するだけではなく、ご家族の事情があるのであれば、再度デイサービスに通えるようになったほうがいいですよね。
そこで生活リズムが整って、訪問のスタッフに慣れてきたら、「そろそろデイサービスに通ってみませんか?」とスタッフから声掛けをしてもらうといいでしょう。意識を前向きに変えるなど、メンタルにアプローチすることも作業療法士などリハビリスタッフの役割なので、うまく声掛けしてもらえると思います。
お父さんが安心してデイサービスに通えるようになる日がくるといいですね。
【まとめ】新型コロナウイルスの陽性者が出たデイサービスに、怖くて通えなくなった父。生活リズムが狂い、認知症が進行しそうで心配なときには?
- デイサービスは安全だと判断されたうえで運用していることを理解してもらう
- ケアプランを見直して、訪問サービスを利用し、生活リズムを整える
- 必要であれば、訪問サービスのスタッフなどからも通所利用開始に向けてのフォローをしてもらう