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介護施設で、あるある探検隊♪

門外不出?芸人の宝、鉄板ネタリストを公開 あるある探検隊の活動報告57

「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ・レギュラーの松本くんと西川くんは、いま全国の介護施設をまわって、お年寄りたちを笑顔にする活動をしています。ところがここ数カ月、新型コロナウィルスの影響で思うように活動ができません。最近は施設でも、スタッフが自分たちで介護レクリエーションをやるようになって、みんな苦労しているとか。そこで今回は、レギュラーの2人がふだんの介護レクで“話題のきっかけ”として使ってきた、利用者さん向けの「鉄板ネタ帳」を開陳します!

オンラインイベントに参加するレギュラー
写真は毎回、レギュラー公式マネジャーがスマホで撮影した「渾身」の1枚です!

全国各地の施設で介護レクリエーションをやってきて、レギュラーの2人が気づいたことがある。世の中には、一世を風靡した「鉄板ギャグ」がごまんとあるが、いざ介護の現場で話題にしてみると、利用者たちの反応がいいギャグと、そうでもないギャグがあるということだ。

たとえば、以前にもこの連載コラムでやり方を紹介したことがある、レギュラーオリジナルのレクリエーションのひとつ「ギャグ体操」(連載第41回参照)。利用者たちに「思い出に残るギャグ」を挙げてもらい、リズムに合わせてそのギャグのポーズをするという体操だが、このとき挙がるギャグには一定の傾向がある。時代が古い、新しいだけでは説明できない“線引き”があるのだ。

それは「回想法」で、利用者たちに「思い出のギャグ」について語ってもらうときも同じ。もちろんジェネレーションギャップから聞いたこともないギャグが飛び出す可能性があるから、ちゃんと予習が必要だろう。

以下のリストは、レギュラーの2人が実際に施設で“手応え”を感じたギャグ一覧。これら有名ギャグを知っておくと、ちょっとした雑談の時間も盛り上がること間違いなし!

「ガチョーン」(谷啓=手の平を開いて腕を伸ばし、手の平を閉じながら腕を引っ込める)
「コマネチ」(ビートたけし=レオタードのハイレグの形にそって手を上下に動かす)
「アイーン」(志村けん=手の平を水平にして喉をつつく)
「もみじまんじゅう!」(B&B島田洋七=もみじの形を両手で空中に描く)
「小さなことからコツコツと」(西川きよし=とくに振りはないため、ガッツポーズなど動きをつける)
「かい〜の〜」(間寛平=背中を縮めたり伸ばしたり)
「いらっしゃーい」(桂文枝=髪を片手でかき上げる)
「加トちゃんぺ」(加藤茶=指を二本鼻の下に当てる)
「シェー」(漫画「おそ松くん」のイヤミ=右手を頭の上、左手を顎の下に。足は一本立ち)
「なんでだろう」(テツandトモ=腕を前後に入れ替えながらクロス)
「ゲッツ」(ダンディ坂野=両手をピストルの形にして決めポーズ)
「どんだけ〜」(IKKO=人差し指を立てて、左右に振る)
「ドゥーン!」(村上ショージ=鼻をつまんだ右手を勢いよく前に突き出す)
「そんなの関係ねぇ」(小島よしお=右手と右足を連動させて上げたり下げたり)
「ルネッサ~ンス!」(髭男爵=片手を腰に当て、乾杯のポーズ)

ちなみに、最後の3つは利用者からというよりも、スタッフから出ることが多いという。スタッフが喜んで、利用者たちも盛り上がる、そんな使い勝手のいいギャグだ。

松本くん 利用者さんに「知ってるお笑い芸人は?」と聞くと、圧倒的なのはやっぱり……。

西川くん そりゃあ、やすしきよし師匠やね。漫才といえば、この人たち。全国区でみんなが知ってる人ナンバーワンや。

松本くん 利用者さんたちにとって、いまでいうダウンタウンさんみたいな感じなんやろうね。次いで名前が出るのは、さんまさん、たけしさんやね。でも、「覚えているギャグは?」と聞くと、またちょっと違ったセレクションになる。

西川くん 「加トちゃんぺ」とか「アイーン」のドリフターズ関係が断然強いよな。やっぱり、「8時だョ!全員集合」は偉大やね。テレビを囲んで一家団らんしていたころの記憶ってのは、年をとっても強く印象に残るもんなんやないかな。

松本くん 家族みんなで楽しかった思い出とか、孫と一緒に見たギャグとか、そういうのがあるんやろな。

西川くん 1980年代の漫才ブームを牽引した「笑ってる場合ですよ!」(フジテレビ『笑っていいとも!」の前身番組)もそっちやね。司会のB&Bさんの「もみじまんじゅう〜」とかも、みんなでマネしたもんな。

松本くん ということで、施設でも家庭でもすぐに使える、利用者さんたちの心に響く「思い出のギャグ」リストを作ってみたけど、いま話した“家族の思い出”系も含めて、いくつか傾向があるよな。

西川くん 言葉が少ない一発ギャグのほうが、記憶に残るというのはよく言われてることやね。「ゲッツ」なんかは、そのいい例や。

松本くん あと、IKKOさんの「どんだけ〜」もインパクトは強烈。最近の世の中の動きに敏感な利用者さんからも挙がるし、若いスタッフさんからも挙がる。最初は「ギャグじゃないやろ」ってツッコんでいたけど、あまりによく出てくるので、いつの間にかギャグということになってるもんな。

西川くん 「そんなの関係ねぇ」とか「ルネッサ~ンス!」は、完全に「エンタの神様」(日本テレビ系)世代のスタッフさんたちの影響やね。

松本くん こうやって見ると、思ったより狭い範囲でまとまってる感じやな。僕らがまわった施設は関東が多いから、「大阪名物パチパチパンチ」とか吉本新喜劇系がちょっと少ないかなとは思うけど、これだけ覚えておけば、利用者さんたちと盛り上がること請け合いや。

西川くん しかし、昔は「一発芸は芸じゃない」という言う人も多かったけど、こうしたギャグをずっと覚えててもらえるのは嬉しいことやね。

松本くん 僕らも「あるある探検隊」がウケてしばらくして、よく先輩から「これに頼ってばかりいると、すぐに消えてしまうで」って言われたもんやけどな。

西川くん 一方で笑福亭鶴瓶師匠には、はっきりこう言われたやん。「あるある探検隊は、死ぬまでやり続けたほうがええで」って。芸人としては、新しいものを作り出したりしたくなるだろうけど、そこは貫くんやと。

松本くん そうしたら、ちょうど「エンタの神様」ブームが来て、一発芸のイメージも変わってきた。考えてみると、何年かおきにトークの時代とギャグの時代がきているんよね。

西川くん そうこうしているうちに、今度は桂文枝師匠にショックなことを言われて……。

松本くん あー、もともと文枝師匠には、ものすごくかわいがってもらってな。ステージもわざわざ袖から見て、「こうしたほうがおもしろいで」とかアドバイスをいただいたこともあった。

西川くん その10年後くらいやったか、師匠の雑誌のコーナーで対談するんで呼んでもらったんやね。久しぶりにお会いして、昔はこんなんでしたねえ、あるある探検隊のほかにもこんなんがありまして、と十八番の「気絶ネタ」を全力でやったら……。

松本くん 師匠が「まだやってんのか。いつまでもやってたらあかんで」て、ちょっとだけ怒ってはったな(笑)。

西川くん 僕の気絶のギャグのやり方がいつもと違ったんかな。でも、師匠から愛のあるアドバイスいただいたなぁ〜。

松本くん やっぱり「あるある探検隊」は鶴瓶師匠の言葉を守るとして、「気絶」は文枝師匠の言うとおり、そろそろ……(笑)。

西川くん 松本くん、それはたしかに……悩んでます。

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