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介護施設で、あるある探検隊♪

ゲッツ!にガチョーン往年ギャグ全部入り体操って? あるある探検隊の活動報告41

「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ・レギュラーの松本くんと西川くんは、いま全国の介護施設をまわって、お年寄りたちを笑顔にする活動をしています。ところがここ数ヶ月、世界的に蔓延する新型コロナウィルスの影響で、思うように活動ができません。感染防止のため家族の面会もできなくなった利用者たちのストレスも心配です。
実はこういうときこそ、介護レクリエーションの出番。今回は、好評におこたえして、施設でも家庭でも、簡単にできて、みんなが楽しめる2人のオリジナル介護レクをさらに紹介します!

レギュラーと介護施設のみなさん
写真は毎回、レギュラー公式マネジャーがスマホで撮影した「渾身」の1枚です!

レギュラーの2人が編み出した、お笑い芸人ならではのオリジナルゲームといえば、これまでも何度か触れてきた「ギャグ体操」だ。

やり方はごく簡単で、利用者たちに「アジャパー」「ガチョーン」「コマネチ!」など思い出に残る有名ギャグを言ってもらい、そのジェスチャーを「あるある探検隊」のリズムに合わせてやるだけ。座ったままできるから、みんなで楽しみながら盛り上がるレギュラーの定番ゲームである。

それでは、そのやり方を一から見てみよう。

まずは、「あるある探検隊」をみんなに知ってもらうための練習から。
座ったままリズムに合わせて、♪あるある探検隊! あるある探検隊!♪と足踏みしながら手を振る。続く「ハイ・ハイ・ハイハイハイ」で手拍子。これを覚えるまで繰り返す。

「僕らのあるある探検隊、覚えてくれましたか~ では、これにギャグを足して体操にします!」

ここで西川くんが会場をまわりながら、参加者に「思い出のギャグ」を聞いていく。出てきたギャグを、「ハイ・ハイ・ハイハイハイ」のあとに、アクション付きでつなげていくのがこのゲーム。たとえば「ゲッツ!」というギャグだったら、両手の人差し指と親指を立てて、「ハイ・ハイ・ハイハイハイ」の手拍子のあとに「ゲッツ! ゲッツ!」。

続いて「ガチョーン」が出たら、手の平を広げたり握ったりしながら、腕を前後に動かす「ガチョーン」の振りつけを、「ゲッツ ゲッツ」のあとに「ガチョーン ガチョーン」とつなげていく。

こうして参加者から出てきた3〜4つのギャグ(それぞれ2回ずつ)をつなげたら、世界にひとつしかない「ギャグ体操」の完成だ。

この一連の体操を、最初は西川くんのマネをしながら順番に、みんなでやってみる。

「あるある探検隊、あるある探検隊(足踏み)、ハイ・ハイ・ハイハイハイ(手拍子)、ゲッツ! ゲッツ! ガチョーン! ガチョーン!……」

そして最終的には西川くんのガイドなしで、参加者が順番を思い出しながらギャグをつなげていくのもポイントだ。

さらに、このゲームの重要な要素がもう一つ。参加者が思い出のギャグを答えたとき、そのエピソードを深掘りすることも忘れちゃいけない。ギャグにまつわる思い出話をしてもらう「回想法」の手法である。

「そのギャグが流行ったとき、何歳くらいやったんですか?」
「まだ20代。子どもが産まれたばっかりで、おカネもかかってな。父親としてがむしゃらに働いていたころだったなあ」

そんな体だけでなく頭の体操にもなる、1回で2度おいしい介護レクのゲーム。世代によって違ったギャグが出てくるから話が弾むし、家庭でやるのもオススメだ。

西川くん この体操のポイントは、なんと言っても座りながらもできることやね。

松本くん 座りながら行進するんやけど、もちろん足が動かせる人だけでいい。キツい人は、かけ声だけでもオッケー。で、最初のギャグは当然、僕らのギャグの「あるある探検隊」や。

西川くん 「あるある探検隊! あるある探検隊! ハイ・ハイ・ハイハイハイ」というリズムをしばらく練習するんやね。

松本くん 施設の利用者さんだと、この一世を風靡したギャグを知らない人がけっこういるからな(笑)。なのでここは、完ぺきに体が覚えてもらうまで何度もやってもらいます。

西川くん いままで利用者さんに思い出してもらったなかで、いちばん多いギャグは……。

松本くん 両手の人差し指と親指を立てて「ゲッツ!」やな。

西川くん そう! ダンディ坂野さんの黄色いスーツが奇抜だから、みんなの頭に強烈に残ってるのかな(笑)。年代的に往年の昭和ギャグが多いかと思うと、意外と新しいギャグが出てくる。

松本くん 「ゲッツ!」とテツandトモさんの「なんでだろう〜」、それからビートたけしさんの「コマネチ」あたりが、3トップだな。あとは「もみじ饅頭」(手でもみじの形を作るギャグ)も、けっこう聞くよね。小島よしおくんの「そんなの関係ねぇ!」も根強い。

西川くん ほんま、とくに自分から率先してギャグを挙げてくれる人は、最近のギャグを出してくることが多いね。そういう人はギャグの感度が高いんやろうな(笑)。

松本くん 基本的にリズムと動きがあるギャグのほうが、頭のなかに残りやすいのかもしれへん。たとえば、スギちゃんの「ワイルドだろ?」とかは動きがないからか、あんまり挙げられた記憶がないね。

西川くん 高齢化社会でウケるネタのポイントは、わかりやすい「リズム」と「動き」ってことやな。あと派手な衣装(笑)。

松本くん このゲームでいちばん難しい部分は、実は、参加者からギャグを引き出すことなんよね。思い出のギャグを聞いても、「わからん」と言われてしまうと、そこで終わりやからね。

西川くん 僕らのほうからヒントを言って、なんとか思い出してもらうこともあるよね。「ほら、谷啓さんの……」とか、ジェスチャーをしながら「こういうギャグ覚えてはりません?」とかやると、「あー、それ知ってる」と。これも思い出すことで、利用者さんたちの頭の体操になるんやけど。

松本くん とくに介護度が高い利用者さんだと、「わからんわー」と諦めてしまう人も多い。そこをなんとか吸い上げるのが第一のキモやね。でも、答えてくれたはいいけど、聞いたこともないギャグで困ったこともあったな。

西川くん あったな(笑)。好きなギャグは?と聞いたら、すかさず「運動会!」って答えたおじいさんやろ。「はい、運動会ですね」と言いかけて、一瞬固まってしまった。運動会?……ギャグ?……はて?

松本くん 詳しく聞いても、どんなギャグなのかはっきりしない(笑)。もしかして、そのおじいさんが自分で作った“オリジナルギャグじゃないか疑惑”を心に奥にしまいつつ……。

西川くん 「いやあ、僕ら勉強不足で初めて聞きました。すみません」とか言って利用者さんを持ち上げて、「ハイ・ハイ・ハイハイハイ、うん・どう・かい! うん・どう・かい!」って、みんなでやったんやね。ちなみに振りつけは、即興で僕らがつくった(笑)。

松本くん 聞いたことないギャグと振りを、首をかしげながらやっていたほかの利用者さんの怪訝そうな顔も忘れられへん(笑)。

西川くん ま、そういう“例外”もあったけど、そもそも人気になったギャグやから、それ自体が面白いし、楽しみながら体も動かせて、頭を使ってやった感もある。座ったままでも汗がかけるし、帰ったらみんなぐっすり眠れるで。

松本くん 僕も利用者さんたちからギャグがぜんぜん出てこないときは、冷や汗かきすぎて、その夜はぐっすり眠れるもの。

西川くん 松本くん、それはたしかにアルな!

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