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介護施設で、あるある探検隊♪

ニュース見てくれた?実現したよリモートで! あるある探検隊の活動報告68

「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ・レギュラーの松本くんと西川くんは、いま全国の介護施設をまわって、お年寄りたちを笑顔にする活動をしています。ところがここ半年以上、新型コロナウイルスの影響で思うように活動ができません。そこで、施設に行かないでできるオンライン介護レクリエーションの可能性を探ってきた2人ですが、ここにきて新たな動きが。NTT東日本や吉本興業などによる、施設とスタジオをオンラインで結んだ実証実験が始まったのです。果たして、その手応えは?

写真は毎回、レギュラー公式マネジャーがスマホで撮影した「渾身」の1枚です!

「オンラインで高齢者に笑い提供」
「レギュラー、オンライン介護に手応え!」

新聞紙面やネットニュースにこんな見出しが踊ったのは、11月下旬のこと。
通信回線やシステムを提供するNTT東日本、芸人を派遣する吉本興業、介護レクリエーションのノウハウを提供するBCC(大阪市)、そして一般社団法人・全国介護事業者連盟の4者が手を組んで、神奈川県内の介護施設をオンラインで結んだリモート介護レクの実証実験がおこなわれたのだ。

この日、集まったメディアを前にオンラインで介護レクを実演したのは、もちろんレギュラーの2人。実験ベースではあるものの、2人にとってついに念願のリモート介護レクが実現したのである。

今回の実証実験の仕組みはこうだ。

まず、レギュラーの2人がいるのは、横浜にあるNTT東日本のショールーム「光HOUSE YOKOHAMA」。ここからオンラインで、川崎市と藤沢市の2つの介護施設を結び、それぞれ10〜20人いる利用者たちにモニター越しに介護レクを披露する。

それぞれの施設には、オンラインで結んだカメラを設置。固定カメラ2~3台と施設スタッフが動きながら使う手持ちのカメラの映像は、横浜のスタジオにいるレギュラーの目の前に設置された3台のモニターにリアルタイムで映し出され、お互いにモニター越しに円滑なコミュニケーションが取れるようになっている。会場の固定カメラを切り替えながら、ときに機動性のあるスタッフの手持ちカメラを駆使して、臨場感のある双方向のやり取りを実現しようという試みだ。

実際にやってみると、2人のレクリエーションはモニター越しでも大盛り上がり。会場を巻き込んだアイスブレークのトークから始まり、定番のオリジナルレク「満腹アヒルの大冒険」(唇の両端を指でつまんで「アヒル口」にしながら好きな料理の名前を言い、それをみんなで当てる聞き取りクイズ)、そして西川くんの鉄板ネタ「気絶」ポーズまで、“距離”を感じさせない実演となった。

終了後、集まった報道陣から感想を尋ねられた松本くんは、その手応えに満足げ。

「ふだん施設さんでやってるレクリエーションを、皆さんの目の前にいる感覚でやらせてもらいました」

スタジオ側のスタッフが手動で切り替えている映像や音声のタイミング、演者であるレギュラーの2人のトークのテンポ、利用者たちへの話のフリかたなど、改善点はまだまだあるものの、設備さえ整えばリモート介護レクはじゅうぶん実現可能。

こうした4者の試みは、来年3月末まで神奈川県内の4カ所の高齢者施設で実施していく計画で、来春以降の事業化も検討しているという。

松本くん いやー、実際にやってみると、まったく違和感なくできる部分と、まだまだノウハウの積み上げが必要な部分と、わかってくるな。

西川くん そうそう、実はこの2週間ほど前にも、予行演習で同じ施設のほぼ同じ利用者さんを相手に、同じ条件でオンライン介護レクリエーションをやってるんだけど、いろいろと試行錯誤するきっかけになったわ。

松本くん まず改善点として挙げられるのは、しゃべるスピードやね。そもそも僕ら、リアルの介護レクの時から、しゃべりが早すぎるってよく注意されてたやろ。場のノリを生み出すためにはしゃべりのテンポが重要なんやけど、オンラインだとますますしゃべりのスピードに注意しないといけないってことや。

西川くん 芸人のテンポでしゃべると、ついつい早くなってしまうからな。だからといって単にテンポを落としても、トークがもっちゃりしてしまうんよね。

松本くん 悩ましいところやな。実際、予行演習の時は何も気にせずいつものとおりにやってみたら、僕らとしてはそれでやりやすかった。ただ、オンラインだとやっぱりしゃべりが聞こえづらいということで、本番ではテンポを落としてしゃべったんやけど、これだとなんだか盛り下がっていく感覚があるんよね。

西川くん 「はい、A施設のほうはどうですか〜。ん? ん? あ〜、なるほど〜、しかしお若いですね」みたいなやり取りで会場に笑いが起こるのを待ってから、「じゃあ、B施設のほうは……ん? ん?」みたいな(笑)。生で顔を合わせる時と違って、オンラインでは相手の反応を待たなくちゃならないからな。まあ、ここはもうちょっと場数を踏んで、ちょうどいいテンポとトークの展開を探っていくしかないんやないか。

松本くん あと、本番で変更してもらったのは、僕らが見ているモニターの構成。予行演習では、A施設、B施設のそれぞれで動き回るスタッフカメラのモニターを左右に配置していたんやけど、それだと右のモニター見たり、左のモニター見たりで、施設の利用者さんたちは僕らの横顔ばかりを見ることになる。だから、本番ではモニターをすべて正面に集めて、前を向いていればすべての状況がわかるようにしたんやね。

西川くん これは正解やったね。固定カメラで会場全体を確認しながら、スタッフさんのカメラで利用者さんに近づいてもらったりして、だいぶリアルのレクに近い感じになった。

松本くん ただ、僕らが見ているモニターは、スタジオのスタッフさんがテレビ中継のように手動で切り替えながらやっているんで、その作業はけっこう大変そうやったな。

西川くん それと音声も。予行演習の時は僕らがレクをやって、両方の施設から利用者さんが思いのままにしゃべって、と音声がごちゃごちゃになってしまった。3カ所から声を出しているわけやからね。だから、本番ではスイッチングで音声をミュートして切り替えるようにしたんだけど、これも手動だったからね。

松本くん 実際、「満腹アヒル」でも、会場ごとの反応がズレるから、ちゃんと音声をコントロールしないと、誰が何を言っているのかわからなくなってしまう。一方で、A施設の利用者さんと盛り上がっていると、その間、B施設のほうは“待ち時間”になってしまうやろ。そのへんのやりくりも工夫が必要だと感じたな。

西川くん 予行演習では、プライバシーの関係でお互いの施設の映像を見られないようにしていたから、なおさら“分断”された感じやったしね。さすがに本番ではお互いに音声も映像も見えるようにしたから、ずいぶんコミュニケーションがスムーズになった。

松本くん もうひとつ重要な要素は、施設側で手持ちカメラを持って動き回ってくれる“中継役”のスタッフさんの存在や。

西川くん そうやね。予行演習の時は、たまたまA施設で人気者のスタッフさんが休みで、NTTの人が代わりにカメラを持って動き回ってくれたんやけど……。

松本くん 利用者さんにとっては知らない人やからね。なんとなくよそよそしい雰囲気が、画面越しにも伝わったもんな。かたやB施設のほうは大盛り上がり。やっぱり利用者さんと中継役の関係性は、リモート介護レクがうまくいくかどうかのカギやね

西川くん しかし、やってみて思ったけど、やっぱり複数の施設を同時にまわすのはクオリティーの維持が大変やな。

松本くん ほんまやね。それで考えたんだけど、施設同士でチーム対抗戦にしたら盛り上がるんやないかな。どっちの拍手が大きいかとか、クイズの答えをどっちが当てるかとか。それだったら、ほかの施設の動きも気になるから「待ち時間」問題も解消されるし。

西川くん 松本くん、それは確かにアルな!

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