介護施設で、あるある探検隊♪

思い出を聞くだけで爆笑の渦 簡単おうち心理療法 あるある探検隊の活動報告37

「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ・レギュラーの松本くんと西川くんは、いま全国の介護施設をまわって、お年寄りたちを笑顔にする活動をしています。ところがここ数ヶ月、世界的に蔓延する新型コロナウィルスの影響で、思うように活動ができません。感染防止のため外部との接点を遮断された施設の利用者たちのストレスも心配です。実はこういうときこそ、介護レクリエーションの出番。施設でも家庭でも、簡単にできて、みんなが楽しめる2人の極意をお教えしましょう!

レギュラーと介護施設のみなさん
写真は毎回、レギュラー公式マネジャーがスマホで撮影した「渾身」の1枚です!

レギュラーの2人が実践する介護レクリエーションは、実は、昔を思い出すことで脳の活性化につながる効果が期待される「回想法」のテクニックが使われているものも多い。

たとえば、2人が介護レクの冒頭で、場の雰囲気を温めるために必ずおこなう「アイスブレイク」も、まさにその一つ。利用者たちと雑談しながら思い出話を引き出すことで、知らず知らずに頭のトレーニングになっているのだ。

定番の質問は、「人生でいちばんの思い出」「記憶に残っている旅行先」「おいしかった料理」「好きな歌」「好きなギャグ」など。
実際に「旅行先」について聞いたときは、こんな具合だ。

「みなさん、これまでにどんなところに旅行しはりました?」

松本くんの質問に、80代の男性が手を挙げてこう答える。
「ほとんどが海外だったな。ハワイに香港に……」
「ほーっ! お仕事ですか?」
「いや、仕事じゃなくて観光」
「も、もしかして女の子とですか?」
「そうそう」
「じゃあ、若いころはモテはったんですね」
「そう、モテたモテた(笑)」
「あら〜。あんまり面影ありませんね〜(笑)」

ここで会場がドカンとウケて、場は一気に和んだ雰囲気に。もちろん回想法の効果も期待できて“一石二鳥”のレクリエーションとなっている。
ここでのポイントは、とにかく興味を持って掘り下げること。そして、よく聞くこと。なによりも「大先輩に教えてもらう」という姿勢が重要だ。

このほか、“なつかし歌モノ”のジャンルもある。
この連載コラムの第35回でも紹介した「トントンサスサス」ゲームをやりながら歌う童謡「かたつむり」もそう。
さらに、2人が鼻歌で歌うイントロから曲名を当てる「鼻歌イントロゲーム」も、定番ネタのひとつだ。美空ひばりの「愛燦燦(あいさんさん)」や舟木一夫の「高校三年生」など、お年寄りたちにお馴染みの昭和の名曲のイントロを鼻歌で披露すると、会場のあちこちから曲名を答える声があがる。そして、最後はみんなで大合唱、というパターンである。

もう一つ、松本くんが「レクリエーション介護士2級」の資格講座で編み出した「ギャグ体操」(第34回参照)も、回想法の要素が組み込まれている。
「アジャパー」「ガチョーン」「コマネチ!」など思い出に残っている有名ギャグを言ってもらい、そのジェスチャーを「あるある探検隊」のリズムに合わせてやる、レギュラーのオリジナル体操だ。

「回想法」は一種の心理療法で、認知症の人が持っている古い記憶を引き出すことで、認知症予防や進行を穏やかにする可能性がある方法としても知られている。「思い出を聞く」という作業こそ、誰もができる簡単で効果的な介護レクなのだ。

松本くん ほんま、「思い出話」こそ、いまからすぐにでも家でできる、もっとも簡単で、もっとも効果が期待できる介護レクリエーションのメニューやね。

西川くん 介護レクというと、なにやら難しいことをイメージする人もいるけど、日常のなにげない会話も、実は立派な介護レクリエーションになるんやな。

松本くん そうや。たとえば新型コロナの感染防止で、デイサービスにも行けないでいるおじいちゃんやおばあちゃんが家にいるとするやろ。こういうときは、家族にも時間の余裕があることが多いから、昔のアルバムを引っ張り出して、おじいちゃんやおばあちゃんと見るだけでも、介護レクになるんや。

西川くん 「これっていつの時の写真?」とか、「これってどこで撮ったの?」とか、「誰と行ったの?」とか、思い出話を聞くと、たいていどんどんしゃべってくれる。

松本くん 加えて、そこから話が波及して、いろんな思い出話が出てくることも多い。アルバムがあると、おじいちゃんやおばあちゃんのことだけじゃなくて、当時の町の様子や物価や、いろんなことを聞くきっかけにもなってええと思うよ。ほかに回想法の効果を狙って、よく質問することはというと……。

西川くん 「好きな歌」とか、「覚えているギャグ」なんかもよく聞くな。ちなみに思い出のギャグのアクションを「あるある探検隊」のあとにつなげてできたのが、僕らのオリジナルゲームの「ギャグ体操」やね。

松本くん 「あるある探検隊! あるある探検隊!」のあとに腕を前後に振って「ガチョーン」、続いて脚の付け根で「コマネチ」みたいな(笑)。ほかに好きな食べ物や、利用者さんの出身地の名物なんかもよく聞くね。

西川くん 好きな食べ物で「炉端焼き」って答えた利用者さんもいたね。「炉端焼き」って何でしたっけ?と質問すると、考えていろいろ教えてくれる。そうやって思い出して説明してもらうのがミソや。

松本くん 家でやるときも、おじいちゃんやおばあちゃんが先生で、家族は生徒になることを忘れないことやね。ポイントは、リアクションはやや大げさにすること。僕らは芸人なんで、「ええ!」とか「うそー!」とか大げさなリアクションが得意だけど、普通に家族だと「ふーん」とかさりげなく言ってしまうこともあるもんな。こちらに興味がないと感じるや、思い出話をやめてしまうお年寄りも少なくないからね。

西川くん でも、無理して大げさにリアクションしても、すぐに見抜かれてしまう。だから最初から、自分も興味がある話を聞くっていうのが一番や。昔の遊びに興味があったら、メンコを持っていくとか。嬉々として教えてくれると思うで〜。

松本くん それに、お年寄りは話の調子が出てくると、もう止まらないことが多いからな。それこそ興味がある話じゃないと、聞き続けるのも苦痛や(笑)。

西川くん そうそう、もう一つの注意点が、お年寄りと話すと8割方は、自分のしゃべりたい方向に話がいってしまう、てことやね(笑)。好きな食べ物を聞いたのに、いつの間にか戦争のことを熱くしゃべっていたりするからな。

松本くん そういうときこそ、大げさなリアクションが軌道修正に役立つで。とにかく話し始めたら途中で打ち切らずに、ちゃんと最後まで聞くことや。リアクションしながら、少しずつ軌道修正するのがコツやね。

西川くん 本当に話に収拾がつかなくなったら、最後は僕の定番ネタ「気絶」を使ってもらってもええで〜(笑)。

松本くん ただ、気をつけたほうがいいのは、これは介護レクの基本でもあるんだけど、無理強いしないことと否定しないこと。そして、悲しい話は掘り下げないことやね。

西川くん 家族なら、先祖の話もええな。自分と血がつながった祖先のことなら、興味がない人は滅多にいないやろ。

松本くん 一族の歴史を知ることで、おじいちゃんおばあちゃんの尊厳にもつながるしな。みんなで思い出しながら話していたら、家族全員の認知症予防にも役立つかもしれない。一石で3〜4鳥はありそうやで。

西川くん 松本くん、それはたしかにアルな!

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