「カーモンベイビー♪」介護レク 楽しい秘密を教えるよ あるある探検隊の活動報告35
構成/福光恵 写真/レギュラーのマネジャー
「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ・レギュラーの松本くんと西川くんは、いま全国の介護施設をまわって、お年寄りたちを笑顔にする活動をしています。ところがここ数ヶ月、世界的に蔓延する新型コロナウィルスの影響で、思うように活動ができません。感染防止のため外部との接点を遮断された施設の利用者たちのストレスも心配です。実はこういうときこそ、介護レクリエーションの出番。施設でも家庭でも、簡単にできて、みんなが楽しめる2人の極意をお教えしましょう!
いつも介護施設で大人気のレギュラー流「トントンサスサス」。両手で別々の動きをしながら集中力も鍛えられるので、認知症予防の効果も期待される介護レクリエーションの定番ゲームだが、レギュラー流は一味違う。今回は、そのやり方を詳しくみていこう。
始まりは、普通に松本くんのこんな説明から。
「右手をグーにして、右の太ももを上下に叩いてください。はい、トントントントントン」
少し慣れたところで右手はやめて、今度は左手。
「つぎに左手で左の太ももをサスサスと前後にさすってください。はい、サスサスサスサス」
さあ、ここからが本番。
「この右手と左手を同時にやるのがトントンサスサスというゲームです。じゃあ、行きますよ」
「えー、難しい!」
「そうです、難しいですよ。ややこしいですよ。はい、そこ練習しない。じゃあ、みなさんいきますよ!」
トントンサスサスとみんなで言いながら、右手のトントンと左手のサスサスの同時進行がスタート。
「きゃ、間違えた」
「やだ〜、できない」
ここで重要なのが、トントンサスサスは上手くやるのが目的ではなくて、間違えるのが当たり前だということ。「できないでしょー」「難しいでしょー」「笑っちゃうでしょー」などと合いの手を入れながら場を盛り上げ、みんなが“できなくて笑っちゃう”空気感をつくり出すのがポイントだ。
「じゃあ、次は歌を歌いながらやりましょう。みなさんが知ってるやつ。あの年末の紅白歌合戦でも盛り上がった、いま流行りのあの曲です!」
そんな大袈裟な前フリから松本くんが歌いだすのが、童謡の「かたつむり」。で~んでんむしむし♪のあれだ。
「まさかできない人がいる?? ……な~んて、年齢に関係なく最初からできる人なんていませんから。はい、どんどん難しくなりますよ。じゃあ、もうひとつ足しましょう」
「無理、無理!」
「大丈夫ですよ。今度は僕が手を叩いたら、右手と左手の動きを入れ替えてください!」
ここから、ちょっと難しくなる中級編。繰り返すが、心がけるのは“間違うのが楽しい”という空気感だ。
「いいですか。パンと手を叩いたら、右手がサスサス、左手がトントンですよ。はい。♪でんでん〜む〜しむ〜し、パン!」
もちろん、できない人がほとんどだけど、それでOK。
「さあ、叩きますよ~」と言いながら、なかなか叩かない。あるいは、「パン」と手を叩くフリをして叩かない、などのフェイントも混ぜると効果的だ。「パン、パン」と続けて2回叩いて、結局、右手と左手を入れ替えないなど、さらに難易度がアップしていく。
「叩かないんかい!」「できるかい!」といったような西川くんばりのツッコミがあれば、なおよし。
「♪でんでん〜む〜しむ〜しか〜たつむり〜♪(パンと叩く振りをして叩かない)♪お〜まえ〜のあたま〜はど〜こにある〜♪パン! つのだせ〜やりだせ〜パンパン!」
ここまでうまく流れができれば、場は笑いのムードに包まれているはず。もちろん誰もがプロの芸人のように話術を駆使できるわけではないが、そこはそれぞれの関係性や距離感でアレンジしてもらえればよい。
定番ゲームに「歌」と「フェイント」などで“笑い”の要素を振りかけたレギュラー版を、ぜひお試しあれ!
西川くん ほんま、トントンサスサスは鉄板ネタやね。初めての人も、やったことがある人も楽しめて、成功しても失敗しても笑いが起きる。施設はもちろん、家庭でも簡単にできて面白い。とにかくオススメや。ベタな笑いは偉大やなあ、とつくづく思うわ。
松本くん もともと介護レクリエーションの定番ゲームだけど、みんなで一斉にできるし、いろいろアレンジできるんで、僕らも初期のころから試しながら改良していったよな。失敗してもツッコミやすくて、笑いに変えられるのがいいところやね。
西川くん レギュラー流は、歌を歌いながらやるっていうところと、手を叩くときにフェイントを入れたりするってところが新しいかな。動きが複雑になって利用者さんたちがいろいろ間違えるから、そこにツッコミを入れながら盛り上げていく、というのがパターンやね。
松本くん 「できないでしょー」「むずかしいでしょー」「笑っちゃうでしょー」などと強調して、こっちも笑っちゃう感じでみんなを盛り上げることがポイントやな。
西川くん できる人には、素直に「わー、スゴイ!」ってフォローしたりしてね。
松本くん 難易度が上がってくると「無理、無理」とブーイングの声が挙がるけど、楽しんでる人がほとんどだから大丈夫。どんどん難しくしていくのも、レギュラー流の特徴や。
西川くん 上手にできるようになることが目的ではなくて、失敗してこそ面白いゲームやからね。だから練習なんてしないで、すぐ本番に入る。ただし、難しすぎて利用者さんのやる気をなくしてしまわないようにすること。このへんのさじ加減がけっこう難しいんやけど。
松本くん 失敗してもいいんやで、とフォローすることを忘れちゃいけないね。家庭なら、おじいちゃんとおばあちゃんと孫とか、3人はいるとええんやないか。2人でやって「自分だけできない」と凹んでしまうといけないもの。
西川くん そういえば、いまトントンサスサスの曲は「でんでん虫」だけど、もともとは「もしもしカメよ」だったよな。
松本くん あ、そういえばそうやったな。たしかに打ち合わせでは「もしカメ」で練習してたけど、実際に介護施設の舞台に立ってみたら、いきなり「降りてきた」とでも言いましょうか(笑)。歌詞やメロディが自然に出てきて、みんなで歌える曲ということで、本当はどちらでもええんやけどね。
西川くん 打ち合わせでは、DA PUMPの「USA」なんかも試したやろ。トントンサスサス「♪カーモンベイビーアメリカ〜♪」って。「兄弟船」とか演歌もやったな(笑)。
松本くん そのときわかったのは、曲のテンポは重要だってことや(笑)。これから施設や家庭でやるときは、おじいちゃん、おばあちゃんの好きな曲でやってみるのもいいかもしれない。水戸黄門の「♪人生〜ラクありゃ苦もあるさ〜♪」とか。
西川くん 実はこのゲーム、中級編の先に上級編もある。太ももから手を離して空中でトントンサスサスする「エアー・トントンサスサス」や。
松本くん これは、かなり難しい。講演会ではたまにやるけど、施設での介護レクでここまで行き着いたことはないな。
西川くん 久しぶりにちょっとやってみようかな。♪でんでん〜む〜しむ〜し……うーん、やっぱりできひん。普通のトントンサスサスは、実は簡単にできるコツがあるんやけどな。
松本くん これから家でやってみようという家族の人や施設のスタッフさんのために、今日は特別にお教えしましょう。「パン」の音で左右の動作を入れ替えるとき、太ももに両手がついた状態で切り替えるとやりやすいんや。だけど、間違えたほうが面白いから、みんなには秘密やで(笑)。
西川くん 松本くん、それはたしかにアルな!