認知症とともにあるウェブメディア

介護施設で、あるある探検隊♪

アヒル口で老若男女が大爆笑。お家でやってみて あるある探検隊の活動報告36

「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ・レギュラーの松本くんと西川くんは、いま全国の介護施設をまわって、お年寄りたちを笑顔にする活動をしています。ところがここ数ヶ月、世界的に蔓延する新型コロナウィルスの影響で、思うように活動ができません。感染防止のため外部との接点を遮断された施設の利用者たちのストレスも心配です。実はこういうときこそ、介護レクリエーションの出番。施設でも家庭でも、簡単にできて、みんなが楽しめる2人の極意をお教えしましょう!

レギュラーと介護施設のみなさん
写真は毎回、レギュラー公式マネジャーがスマホで撮影した「渾身」の1枚です!

レギュラーの2人が生み出したオリジナル介護レクリエーションの代表格といえば、この連載コラムでもおなじみの「満腹アヒルの大冒険」。出題者が、唇の両端を指でつまんで「アヒル口」にしながら好きな料理の名前を言い、それをみんなで当てるという聞き取りクイズだ。「んぐぐぐ」としか聞こえない料理名を、言葉の文字数やアクセント、そして出題者のヒントから当てるゲームとなっている。

それでは、松本くんを出題者にゲームを再現してみよう。
まずは全員で手拍子しながら、「満腹アヒル、何食べた?」と声を合わせるところからスタート!
そこで、アヒル口にした松本くんが出題する。

松本くん「んぐぐぐんんん。さあ、なんでしょう」

答えがわかりやすすぎてもダメ。わからなさすぎてもダメ。わかりそうでわからない、という絶妙なラインを攻めるのが、場が盛り上がるポイントだ。 

解答者A「はい! 味噌煮込みうどん?」
松本くん「違います。麺類ではありません」

間違ったときは、出題者がヒントをひとつ言うのがルール。いくつか答えて正解が出なければ、もう1回出題する。

松本くん「はい、もう1回。♪満腹アヒル、なに食べた? んぐぐぐんんん!」
解答者B「もしかして、豚の生姜焼?」
松本くん「そんなに脂ぎってません」

なかなか正解が出ずに場が飽きてきたら、アヒル口を少し緩めて答えを聞き取りやすくするサービスも忘れずに。

松本くん「もう1回いきますよ。♪満腹アヒル、なに食べた? んぐぐぐんんん!」
解答者C「ソース焼きそば?」
松本くん「麺じゃないですからね。マヨネーズが使われています」
解答者B「難しいわ〜! ポテトサラダ?」
松本くん「惜しい! ニアピンです」
解答者A「はいはいはい、わかった! マカロニサラダ!!」
松本くん「正解です〜!」

単純なゲームだが、出題者が「アヒル口」の加減で難易度をコントロールできるため、場の流れに対応しやすいうえ、お年寄りたちが「なんて言っているのか聞き取ろうとして集中して頭を使う」という脳トレ効果も期待できるという。

実際にやってみると大人も熱くなって、「途中で変えたやろ」「変えてないです!」なんてツッコミも盛り上がるゲームなのであった。

西川くん このゲームこそ、松本くんの完全オリジナル。介護業界に革命を起こしたゲームと言っても過言やないで(笑)。

松本くん 聞く力を養うし、集中力を養うし、考える力を養うし。はじめから意図してたわけじゃないんだけど、いろんな脳トレの要素が入ってるみたいや。しかも、施設でも講演会でもウケるし、普通のお笑いの舞台でもウケるというな。

西川くん まさに万能! ただ、わかりやすくてもダメだし、わからなくてもダメだし、そこのちょうどいいところをいかなあかん。それが出題者の腕の見せ所やね。

松本くん 少しずつ聞き取りやすくしていくんだけど、あからさまに簡単にしたら、やる気をなくしてしまう。むしろ、ヒントで当ててもらう感じがええな。大切なのは、当てさせることが目的じゃなくて、盛り上げるのが目的ってことや。そのためには、まずは自分が楽しんでやらなきゃな。

西川くん 自分が楽しむことは、介護レクリエーションの基本の基やからな。満腹アヒルは、口をアヒルにして「んぐぐぐぐ」と言うだけでも面白いんやけど、ヒントの出し方によって、これまたぐっと面白くなる。センスが求められるところや(笑)。

松本くん また、そんなハードルを上げて(笑)。ヒントは重要だけど、そんなに難しく考えなくても大丈夫。たとえば、「カレーライス」という不正解の答えが出てきたら、「お米は入ってない食べ物です」とか「黄色くない食べ物です」とか。ある程度、答えが出そろってきたら、開き直って「なんとか丼です」とか、「ラーメンです。なにラーメンでしょう」とかいうのもアリ。

西川くん 「家族でよく食べます」とか、「箸で食べます」とか、あまり参考にならないヒントをわざと出して、まわりに「当たり前や!」とツッコんでもらうというのも、ひとつの手やね。出題や解答に対して、「そんなんわかるわけないやろ!」とか、「ヒントが難しすぎるわ」とか、みんなで絡みながら笑うのが正しい作法や。真剣な人ほど怒るから、「怖い顔になってますよ」とかフォローするのも忘れずに。

松本くん 解答者は何回でも答えられるから、ヒントを出しながら3~4個の答え出たところで正解がなければ、もう1回出題する、という流れやね。それを2セットか3セットか、盛り上がっていればいつまでもやるし、イマイチだったら早々に答えがわかるようにする。それは場の空気感やな。

西川くん 最後にわざと答えがわかるように言って、「答え言ってるやん!」てツッコむパターンもあるよな。

松本くん 答えを変えてるやろ!とツッコまれることもあるけど、ほんまに変えてへん。実際に、改めて口をキツく締めてアヒルにして、正解のメニューを言ってみせると、なぜかちゃんと聞こえる。答えがわかって聞くと、しっかりそう聞こえるから不思議やね。

西川くん まさに、わかりそうでわからない焦らしポイント! あと出題する言葉によっても、盛り上がりが左右されるな。まずダメなのは、料理じゃなくて「食材」を出題してしまうパターンやね。「肉」とか、「魚」とか。

松本くん そうそう、漠然としすぎててクイズにならないからな。これは解答にもあって、つい「肉!」とか「ピーマン!」とか答える人の多いこと(笑)。気持ちはわかるけど、そんなのばかりだと盛り上がらないから、あくまでも満腹アヒルが「食べたもの」であることが鉄則や。

西川くん 正解の文字数も大きいね。「すし」や「そば」は、みんな知ってる食べ物だけど、短すぎてダメ。逆に「バーニャカウダ」とか、「オマールエビのカルパッチョ」とか、凝り過ぎて誰もわからない料理もダメ。というか、バーニャカウダってどんな食べ物やったっけ?

松本くん 最初はだいたい6〜8文字の「カレーライス」とか、「味噌ラーメン」なんかがいいんやないか。あと経験から言って、“丼もの”は、いつもいい感じのころあいで正解が出てくる。わかりやすすぎず、わかりにくすぎないからやろうね。

西川くん 前にも言ったけど、このゲーム、実は子どもに出題してもらうと盛り上がるんよね。講演会で観客のお子さんにやってもらったときは、会場がドカンドカン盛り上がったもんな。

松本くん そうそう、子どもは加減がわからないから、口をキツく締めすぎて、なに言っているかわからないとか、そういうハプニングもかわいらしくて面白い。「さあ、いきますよ〜、お願いします!」と盛り上げて、いざ言ってもらったら、「ん!」としか聞こえないとか(笑)。

西川くん 逆に、アヒル口しながら、はっきりと「ハンバーグ!」って元気よく言ってしまったお子さんもいたな(笑)。われわれにとっては、ほんま、ありがたい助っ人や。

松本くん 満腹アヒルは、3〜4人のファミリーでやっても盛り上がるんやけど、もしお子さんがいたら、出題者をやってもらうのがオススメやね。あ、でも、まずは手をよく洗ってから唇をアヒルにすることを忘れずにね。それとお父さん、あなたの一発目の出題が重要だから、事前に鏡の前で練習を!

西川くん 松本くん、それはたしかにアルな! 

「コロナ禍を生きぬく~認知症とともに」 の一覧へ

あわせて読みたい

この記事をシェアする

この連載について

この特集について

認知症とともにあるウェブメディア