介護施設で、あるある探検隊♪

外出自粛だから施設も家庭も楽しいレク あるある探検隊の活動報告34

「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ・レギュラーの松本くんと西川くんは、いま全国の介護施設をまわって、お年寄りたちを笑顔にする活動をしています。ところがここ数ヶ月、世界的に蔓延する新型コロナウィルスの影響で、思うように活動ができません。感染防止のため外部との接点を遮断された施設の利用者たちのストレスも心配です。実はこういうときこそ、介護レクリエーションの出番。施設でも家庭でも、簡単にできて、みんなが楽しめる2人の極意をお教えしましょう!

レクリエーション介護士の講座を受講するレギュラー
写真は毎回、レギュラー公式マネジャーがスマホで撮影した「渾身」の1枚です!

レギュラーの2人が、「レクリエーション介護士2級」の資格を取得したのは3年前のこと。神奈川県で開かれた講座の受講者は約20人。30~40代の女性が多いなか、中国の留学生や、地元で活動しているフリーの芸人などもいた。

2日間の講座の初日は、お互いの自己紹介から始まった。名前、職業、そして「あだ名」。ここはプロの芸人として一発、ボケなきゃいけない場面だ。
ちょっとしたプレッシャーのなか、絶好調だったのは西川くんだった。

「“あるある探検隊”をやっている西川です。ここでは“気絶”と呼んでください!」

と、さっそく鉄板ネタの“気絶”(片手を挙げて白目になり、グゥゥグゥゥと喉をならすネタ)をかますと、これが大ウケ。
続く松本くんは——。

「えー、みなさん、気を使わないように僕のことは”先生”と呼んでください!」

ひねりをきかせすぎたボケに、一同ややウケ。

いままで見たことないほど生き生きとする西川クンを「心底うらやましいと思った」という松本くんだが、初めて学ぶ介護レクリエーションは手応え十分。なにしろ本業のお笑いと同様、「人を楽しませること」が何よりの目的だからだ。

ワークショップ形式の授業は、「いす取りゲーム」や「ハンカチ落とし」、「あんたがたどこさ」など昔懐かしの遊びから、新聞のチラシを切り取って自分なりの広告を作る“図画工作”のような時間など、まるで小学校の休み時間を過ごしているような感覚。
これがいったい、介護レクリエーションにどうつながるんだろう——と思っていると、進行役の講師がこう言うのだった。

「実は、これがすべて介護レクリエーションなんです」

なにも特別なことはいらない。自分に合ったことを楽しみながらすれば、なんでも介護レクリエーションになる、ということを学んだ2人だった。

西川くん 介護施設のおじいちゃんやおばあちゃんたちは、いまごろどうしてるんやろ。新型コロナの感染防止のためだから仕方ないけど、僕らみたいな外部の人間によるレクリエーションもダメだし、家族の面会ですらシャットアウト。体も心配やけど、ストレスもたまってるやろうな。

松本くん 利用者さんはもちろん、スタッフさんのストレスもきっと大変や。知り合いの施設に聞いたら、外部の人間が出入りできないから、内部のスタッフさんやケアマネジャーさんたちが自分で、歌とか料理のレクリエーションをやっていると言ってたわ。ほんまやったらこういうときこそ、みんなが楽しめる僕らの介護レクリエーションの出番なんやけど……。

西川くん ほんま、そうや。施設だけじゃなくて、在宅介護の人たちも不自由な生活をしているはずやからな。だから僕らが行けない分、施設でも家庭でも、スタッフさんや家族が簡単にできる介護レクの具体的なやり方とコツを伝授したいと思うねん。それで今回はまず、僕らが学んだ介護レクことから話そうかと。

松本くん 僕らが「レクリエーション介護士2級」の資格を取ってから、もう3年も経つんやね。講座では、何でも介護レクリエーションになるんだということを、身を持って学んだな。誰でも介護現場で特技を生かせる。自分のキャラを生かしながら、自分のできることをレクリエーションにすればええんやって。

西川くん そう、そう。介護レクとは、楽しませることができれば何でもいい、ということや。僕らなら、お笑い。収納術とか料理とかを披露する主婦もいたし、美容講座をやる人もいたな。ほかにもオリガミを教えたり、歌を歌ったり、とにかくそれぞれ自分の得意なことをやればいい。

松本くん 講座もひたすら勉強するのかと思って覚悟して受けに行ったけど、実際は授業というより、小学校の休み時間かお楽しみ会みたいな感じやったね。

西川くん 自己紹介が終わったら、おもむろに机を下げていろんなゲームが始まった。ハンカチ落としをやったり、椅子取りゲームやったり。座学や試験も少しあったけど、2日間、ほんま楽しかったわ〜。

松本くん 講師の先生は「世の中にレクリエーションはあふれてます。まずは自分で楽しむこと。そうすれば、なんでもレクリエーションになる」と言ってて、なるほどなあと思ったわ。

西川くん 実は、あの講座で生まれたオリジナルゲームもいくつかあるもんな。

松本くん 「あんたがた気絶」やね(笑)。ふつうは「あんたがたどこさ」の歌の「さ」の部分に合わせて、手を叩いたり、隣の人のひざを叩いたりするところ、“気絶”するってやつ。

西川くん そう、「♪あんたがたどこグゥ、ひごグゥ、ひごどこグゥ……」とやって、教室では大ウケやったんだけどな。実際に僕らの介護レクの現場でもやろうと思ってたんだけど、なぜか施設で気絶ネタのウケがあまりにも悪くて……(第23回参照)。怖くて、一度もやらないままお蔵入りや(笑)。

松本くん もったいないから、なんとか再利用しようと考えついたのが、「気絶なんでやねん」。会場を歩き回る西川くんが突然、気絶したら近くにいる人が「なんでやねん!」とツッコむというネタやったけど……。

西川くん 何度気絶しても、利用者さんは誰も「なんでやねん」とツッコんでくれなかったという……。まあ、これは失敗談やけど、僕らの介護レクの鉄板ネタの一つである「ギャグ体操」(思い出の有名ギャグのジェスチャーを、あるある探検隊のリズムに合わせてやる、レギュラーのオリジナル体操)が生まれたのも、この講座やからね。

松本くん あれは最終日に、グループに分かれて自分たちの介護レクのメニューをつくるという課題から生まれたんや。実際に施設でやることを想定して、どんなネタで、費用はいくらか、対象となる利用者さんの介護度や人数、施設スタッフの補助の有無なんかをシミュレートして、最後に発表。この卒業試験をパスして資格をもらった。

西川くん 講師の先生が言っていたことで印象的だった言葉があるわ。いま現役で働いている人は1日のなかで仕事をしている時間がいちばん長い。主婦だったら子育てや家事など家のこと。だけど、高齢者はそれがなくなって余暇の時間がメーンだから、その時間の過ごし方によって人生が変わる。その人生を豊かにするために生きがいを作り直す、それがリ・クリエーション=レクリエーションなんだ、とね。

松本くん まさにいま、新型コロナの脅威で社会が委縮しているなかで、おじいちゃん、おばあちゃんたちの楽しい時間をどう増やせるかは、大きな課題やね。

西川くん よくレギュラーは介護レクなんてしてないやん、と突っ込まれるんだけど、たしかにその通り。なにも特別なことはしてないし、いつも通りにやってるだけ。でも、やっぱり僕ら自身が楽しんでいることが重要だと思うんや。

松本くん そうや、そうや。僕らのやっていることなんて単純なことだから、家庭でも、施設でも、ぜひみんなでやってみてほしいわ。次回からは、僕たちのオリジナルの介護レクリエーションを中心に、そのやり方とポイントを話すで。

西川くん 松本くん、それはたしかにアリやな!

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