短期間に2回も!母が施設で転倒し骨折 不信感が募ります【お悩み相談室】
構成/中寺暁子

認知症介護指導者の久保圭司さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。
Q.母(70代)は施設に入居しているのですが、昨年転んで足を骨折して入院し、最近も転んで腕の骨にひびが入りました。事故は仕方のないことだと思いますが、短期間で2回も転んだので、不信感が出てきました。施設とどう向き合えばいいでしょうか(40代・男性)
A.施設側と密にコミュニケーションを取る、ということに尽きると思います。お母さんは短期間で2回転倒したとのことで、ADL(日常生活動作:日常生活を送るために最低限必要な動作)が低下している状態ではないかと思います。いまのお母さんはどのように歩いているのか、立ち上がったときにふらつくのかなど、お母さんの身体機能の状況を施設側と共有することが大事です。いまのお母さんの状態がわかると、施設への不信感もやわらぐのではないでしょうか。
もしかしたら、ADLが低下して転びやすくなっているのは、昨年足を骨折して入院したことがきっかけになっているかもしれません。病院では治療が最優先されるので、入院中はほとんど寝たきりの状態となることもあります。私はグループホームに勤務していますが、入院中の利用者の方が退院して戻ってきたら、ADLが一気に低下していたというのは、よくあることです。また、入院中に処方された薬の副作用でふらつきやすくなるということもあります。退院後も継続する必要がある薬なのかどうか、改めて主治医に確認すると服用を中止できることもあります。お母さんの退院後の変化なども、施設側によく確認しておくといいと思います。
グループホームには、認知症が進んでスタッフがどんなに気を付けていても、頻繁に転んでしまう方もいます。特に夜間はスタッフの人数が減るので、1人の利用者だけを常時見ているわけにもいきません。ご家族には事前に転びやすい状況であることをお伝えするようにしています。
施設としては、ご家族にこまめに面会に来ていただけると、その間はスタッフの負担が軽減しますし、ご家族に本人の最近の状況などもお伝えしやすくなります。「協力できることがあったらやりますよ」といった声をご家族からかけていただけると、信頼関係も築きやすくなります。
もちろん、コミュニケーションを取ったことで、不信感がさらに高まるという可能性もゼロではありません。その場合は、ケアマネジャーに相談して、ほかの施設に移るというのも1つの選択肢です。
できればこれを機にご家族と施設側との信頼関係が深まり、お母さん自身も過ごしやすくなるといいですね。
【まとめ】短期間で2回も転倒した母。施設に不信感が出て、施設側との向き合い方がわからないときには?
- 施設側とコミュニケーションを密にとり、いまのお母さんの身体機能の状況を共有してもらう
- 骨折による入院が転倒しやすさにつながっている可能性があることを理解する
- できればこまめに面会に行く
≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました≫
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