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今日は晴天、ぼけ日和

在宅介護こそ最善? いいえ、手放してもいい 離れていても家族は続く

《介護福祉士でイラストレーターの、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

青いリンゴ

私はもう、これ以上、
介護を頑張れなくなった。

だから、母には施設で暮らしてもらうことになった。

窓際のリンゴ

私と母がこれまで歩んできた苦労を、いったん降ろしたの。

私たちがこれからも、
幸せでいるために、決めたこと。

青いリンゴと黄色いリンゴ

私の母は、施設で暮らす。

私は、家族で暮らしたこの家で暮らす。

そうして私たちは、
それぞれの場所で、生きてゆく。

離れていても、心を通わせて。

「在宅介護を続けられなくなり、母に施設で暮らしてもらうことを決めた。」

その決断を誰かから聞いたとき、あなたの心にはどんな思いが湧くでしょうか?

「親の世話を放棄するなんて……」

もし、そんな気持ちが少しでも芽生えたら、
いったん立ち止まって考えてみてほしいのです。

在宅介護に関わる人であればなおさら、

「家で暮らし続けることこそ最善」と思い込んではいないか、

ご自身に問いかけてみてほしいのです。

家で暮らしたい——そう願う人は多いでしょう。
でも、「介護の最善」は家族ごとに、個人ごとに違う。
そして、時と場合によって変わっていくものです。

だからこそ、

「在宅介護を手放してもいいんだ」

そう自分に許すことは、自分自身への優しさであり、
家族や周りへの寛容さにもつながるのではないでしょうか。


いつか、家族と一緒に暮らせなくなるかもしれない。
でも、そのときはまた、新しい暮らしの始まりです。

家族は、どこにいても、どこまでも続いていくのですから。

 

 

《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》

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