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コマタエの 仕事も介護もなんとかならないかな?

見覚えのある症状…前回は入院も 初動の大事さを知った皮膚トラブル再び

駒村多恵さん
駒村多恵さん

タレント、アナウンサーとして活躍する“コマタエ”こと駒村多恵さんが、要介護5の実母との2人暮らしをつづります。マスクを外すと唇が腫れていた母親。見覚えのある症状に、10カ月前の記憶がよみがえったときのお話です。

蜂窩織炎(ほうかしきえん)再び

朝、口腔ケアをするために母のマスクをとると、「あれ? 腫れてる?」下唇の真ん中がぷっくり腫れ上がり、顎(あご)にかけて赤くなっていました。
「これは…!」
見覚えがある症状に身構えました。約10カ月前、顎がなんとなく赤いなと気になったものの、そのまま様子見していたら、あれよあれよという間に赤い範囲が広がり、翌日には顎から首にかけて腫れあがっていました。皮膚トラブルで、たいしたことがないと軽くみていたのですが、結局、1カ月以上入院しました。その、最初に違和感を持った時と同じ所見でした。

その時は、初めてお世話になる雑誌の取材と重なり、苦労しました。訪問診療の内科の先生や嚥下リハビリテーションの歯科の先生に相談すると、「入院するべきではないか?」という意見が出て、悠長にしている場合ではないと慌てたのですが、撮影開始時間が迫っていました。タイムリミットがある中での入院調整は想像以上に難しく、ものすごく焦った記憶は鮮明です。

実は、今回もお仕事と重なってしまいました。私自身、とても楽しみにしていたプロジェクトの顔合わせの日。多忙な皆さんが予定の合う日時をすり合わせ、ようやく決まったリモート会議でした。たまたま朝の生放送はなかったので、午後の開始時刻までに目処をつけられないものだろうかと、朝9時を待って午前中に診察してもらえる歯科を探しました。

月に一度通っている歯科は車で15分ほどの距離。最近は介護タクシーを利用しています。しかし、当日の介護タクシーはいっぱいだったので、まずは徒歩圏内で探すことにしました。車いすの患者を受け入れている医院をやみくもに探すのは時間がかかるので、歯科医師会に問い合わせ、最寄りの駅の車いす対応の歯科を2件紹介してもらったのですが、「予約でいっぱいです。あと、立てますか? 診察台に乗り移れないと無理です」、「夕方なら合間で診られますが、2段ほど階段があるんです。どうでしょう?」という返答で、いずれも断念。次に、家からは遠いけれど障害者を主に診療しているという区の歯科に問い合わせると、こちらは1カ月以上予約が取れないとのこと。今回も、急患で診てもらうまでのハードルはかなり高いと痛感します。

この段階で、一旦マネジャーさんに現状を報告。ギリギリに状況を伝えて身動きが取れないという最悪の事態を避けるために、困ったことが起きると早めに共有することを心がけています。

さて、次の一手はどう打つか。月に一回通っている歯科に問い合わせることにしました。状況を伝えると、オンラインで診てくださいました。すると、「これは早めに点滴を打った方がいいから、大きい病院紹介します。うちに寄るのも大変だから、FAX送っておくので、直接行ってください」と指示して下さいました。

以前は、段差を超えられない母をスタッフ総出で車椅子ごと持ち上げて診察室に運んで下さり、医院移転後は、車椅子用のスロープを作って、母が診察に来る度に設置して下さいます。常に親身になって最善策を考えてくださる先生で本当に有難い!

車いすで来院すると、スタッフの方々がスロープを用意してくださいます
車いすで来院すると、スタッフの方々がスロープを用意してくださいます

そうこうしていると、マネジャーさんから、プロジェクトの皆さんから顔合わせの日時を延期して下さるとの連絡が。お忙しい皆さんがようやく捻出した時間をご破算にして本当に申し訳ないです。一方で、時間とともに母の腫れが広がっていくことは経験済み。初動が大事なことを痛いほどわかっています。今回はお言葉に甘えて延期させていただきました。理解ある方々に恵まれて、感謝の気持ちでいっぱいです。

診察室入口の小さな段差にも、スロープをつけてくださいました
診察室入口の小さな段差にも、スロープをつけてくださいました

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