腫れ上がった母の唇 医師にデイに…仕事の合間に怒濤の電話連絡
タレント、アナウンサーとして活躍する“コマタエ”こと駒村多恵さんが、要介護5の実母との2人暮らしをつづります。ポジティブで明るいその考え方が、本人は無意識であるところに暮らしのヒントがあるようです。就寝前に気づいた母親の唇の腫れ。原因も分からず、翌朝更に腫れが増し、各所に相談した時のお話です。
顎(あご)の腫れ
あれ? 唇が腫れてる? 就寝前の口腔ケアをしている時、いつもよりぷっくりしていることが気になりました。ヘルペスか何かで腫れているのか、それとも唇が盛り上がって見えるだけなのか。心に引っかかりを感じながらもそのまま眠りにつき、朝、目が覚めて真っ先に母の唇を確認すると、盛り上がりが増していて、顎の下、首まで赤くなっていました。これは、何かおかしい…。しかし、私は仕事に行かねばなりません。とりあえず、患部の写真を撮り、デイサービスに送り出して対策を練ることにしました。
その日は午後から雑誌の対談の仕事でした。午前中、美容室で髪を切り、差し入れを購入して向かうつもりでしたが、母の腫れが気にかかり、身支度を始める前に、月1回、口の中を診てもらっている訪問嚥下リハビリの先生に顎の写真とともに相談のメールを送りました。嚥下の先生は、診察後、帰り際に必ず「何かあったら、いつでもご連絡ください」と言ってくださいます。よっぽどのことがない限り連絡することはないのですが、過去には作ってもらったマウスピースが浮いて誤飲の恐れがあるという困りごとを予めお知らせしたことで、次の訪問時に型取りのセットを持参して作り直してくださり、完成までの期間が1カ月早くなったことがありました。今回も腫れと赤みの原因がわからず、お言葉に甘えて写真を送信したのです。
すると、「腫れが強いので、抗生物質や抗炎症剤の服用が必要かと思います。かかりつけ医の先生に往診していただくことは出来ますでしょうか?」とすぐに返信が届きました。続けて、「たまたま今、仕事で来ている病院の口腔外科の先生に写真を見ていただいたところ、顎の骨に問題があるかもしれないとのことで、出来ればCT等を撮っていただいたほうが良いとのこと。この写真を見る限り、出来るだけ早く点滴で対応した方が良いと思います」というメールが届いたのです。点滴とは! 思ったよりも重症の見立てにすぐに、月に1度来ていただいている訪問診療の内科先生に連絡。すると、今日は外来の日なので往診は難しく、点滴を打つかどうかは実際に見てみないとわからないので、病院に来るのが一番早いとのことでした。
しかし、母はデイサービスに行っています。私はこの後仕事に向かわねばなりません。今日の今日で通院の付き添いをしてくれるヘルパーさんを発注するのは現実的ではなさそうです。各所に電話やメールで相談しているうちに時間はあっという間に過ぎました。
連絡しながらのメイクは一向に進まず、何とかファンデーションを塗るところまでこぎつけ、一旦中断。とりあえず、手土産の購入は諦めて、仕事へ行く前にデイサービスへ立ち寄り、もう一度腫れ具合を確認して、訪問診療で来ていただいている病院の看護師さんに報告。入院も視野に血液検査をする方向で調整し、ベッドの空きがあるか、万が一の入院が可能かなどの連絡を留守番電話に入れてもらうことをお願いすることにしました。
デイサービスへは、入院の可能性があるため、今日の送迎時間を少し遅らせて待機させてもらえないかお願いをしました。そこまでの手配を完了させて取材へ。
携帯の電源を切ったら一切を忘れてお仕事です。料理研究家の先生のドラマにまつわる料理を食べながら好きなドラマについて語るという、ただただ楽しいお仕事でした。その時だけは介護のことは考えず、わいわい対談。終わった瞬間からまた怒涛の電話連絡です。
病院からは、入院して詳しい診断を下すことを提案されました。夜一人で看ているときに急変するのが一番怖いので、病院でプロに診てもらえるならひとまず安心です。