週1回3時間でも仲間から感謝される理由 超超短ヘルパーとしての流儀
新卒で入社した出版社で、書籍の編集者一筋25年。12万部のベストセラーとなった『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』(多良美智子)などを手がけた編集者が、40代半ばを目前にして、副業として訪問介護のヘルパーを始めました。今回は、週1日、約3時間という超超短時間勤務ついてです。
週1回、半日だけの超超短時間勤務で申し訳ない…
私は、ヘルパー業を始める際に、働くのは金曜日の午前中だけと決めました。そうすると、担当件数は3件ほど、働く時間はせいぜい3時間の、本当に短い勤務となります。
たしかに、ヘルパーの求人の募集内容には「週1回1時間から勤務可」と書かれていました。事業所での面接の際にも、本業が他にあるためたくさんは働けない事情を話し、了解を得たうえで採用されています。それでも、やっぱり事業所に申し訳ないなあ、いいんだろうか、迷惑ではないだろうか…。ヘルパーとして働き出してから、しばらくはそう思っていました。
そんな気持ちを、事業所の職員さんに吐露したことがあります。「こんな短時間しかサービスに入れなくてすみません」と。すると、返ってきたのは、「いえいえ、全然そんなことないですよ。1時間でも入ってもらえたら、本当にありがたいんです」という言葉でした。
そんな言葉が出てくるほど人手が足りていないヘルパーの勤務事情を、今回はお伝えしようと思います。
膨大な訪問件数の1つでも担うと「本当にありがたい!」
私の所属する事業所は、地元では規模が大きなところです。お客様の人数も多く、加えて、要介護度の高い方が多くいます。
それは、事業所にとってどういうことを意味するのかというと、「発生する訪問件数が多くなる」ということです。要介護度が高い方は、生活の自立度が低く、おむつ交換や食事介助が必要となるケースがほとんどです。そして、おむつ交換にしても食事介助にしても、1日に1回だけということはなく、数回発生します。必然的に、お一人当たりの訪問回数が増えるのです。
仮に10人のお客様がいるとします。その方たちの要介護度が低ければ、お1人につき週3回だけのサービスかもしれません。すると、発生する全体のサービス回数は、10人×3回で、週30回となります。
一方、10人のお客様がみな要介護度が高く、どなたも毎日(週7日)、しかも1日2回入るとしましょう。10人×7日×2回で、週140回のサービスが発生することになります。お客様の人数は同じでも、要介護度によってこれだけ訪問件数が変わってくるのですね。
私の事業所は登録ヘルパーの人数も多いのですが、こうした状況なので余裕はなく、ヘルパーみんなで手分けして、なんとかシフトを埋めているという感じです。そのため、「1コマでも担当してもらえると助かる!」となり、私のような超超短時間勤務者でも十分貢献できているようなのです。
ヘルパーの穴を埋める職員さんの負担を少しでも減らせれば
前述したように、私が超超短時間勤務についての心情を吐露した際に、職員さんは「ヘルパーさんあっての我々ですから」とも言っていました。
職員さんとは、私の所属する事業所の場合、母体である会社に社員として雇われている人たちです。私たちのように訪問1件あたりで報酬をもらう登録ヘルパーと違い、月給制のフルタイムで働いています。
職員さんの仕事は、シフトの調整やお客様対応、サービス計画書の作成など多岐にわたるのですが、みなさんヘルパーでもあります。登録ヘルパーだけでは埋まりきらないシフトは、職員さんたちが埋めていくことになります。
職員さんは、私たち登録ヘルパーのように地元採用とは限らず、遠くから通勤している人もいます。ある職員さんの場合、通勤に2時間近くかかるとのこと。朝8時からのサービスに入るときは、家を出るのが6時だそう…。
一方、私は家が近いので、朝8時からのサービスでも特別早いというわけではありません。職員さんたちには普段から、ケア方法の相談に乗ってもらったり、不安があるときは訪問同行をお願いしたり、何かとお世話になっています。自分がシフトに入ることで、少しでも職員さんの負担が減るなら、お役に立ててよかったというものです。
普段働けない分、他の人が休む年末年始に働く
少ししか働けない分、「ピンチヒッター」としても貢献できればとも思っています。
たとえば毎年、年末年始には、可能なかぎりプラスでシフトに入るようにしています。年末年始は仕事を休むヘルパーが多く、毎年人が足らず、職員さんがシフト調整に四苦八苦しているのです。昨年末は12月30日と31日にシフトに入りました。今年もおそらく12月29~31日の3日間、自宅の大掃除の合間を縫って働くことになりそうです。いつもとても感謝されます。
また、自分のシフトの日は、よっぽどのことがない限り、絶対に休まないと決めています。本業の予定も、金曜日の午前中には入れません。ヘルパーの仕事を最優先にしています。GWや祝日があたっても、休みません。私が休めば、誰かが代わりに行かなければならなくなるからです。他のヘルパーさんや職員さんに迷惑をかけるわけにはいきません。おむつ交換も食事介助も待ったなし、今日が無理なら明日に、とはいかないのが介護の仕事なのです。
4年近くヘルパーとして働き、自分のような超超短時間勤務者にも存在意義はあるなと感じています。