海の幸に山の秘湯 頑張り過ぎていた自分にご褒美!日帰り8時間の旅
タレント、アナウンサーとして活躍する“コマタエ”こと駒村多恵さんが、要介護5の実母との2人暮らしをつづります。ポジティブで明るいその考え方が、本人は無意識であるところに暮らしのヒントがあるようです。今回は、無自覚に頑張りすぎて悲鳴をあげていた身体のために、自分の時間と向き合い始めたというお話です。
2023年は不調の年
今2023年、皆さんはどんな一年でしたか?私は、年明け早々、股関節と半月板を断裂して歩行困難になり、蕁麻疹にも悩まされ、身体が悲鳴を上げた一年でした。「頑張り過ぎない」とよく言いますが、自分は大丈夫と思っていても、頑張り過ぎていることに気がついていないものなのだと実感。私は皮膚科という意外な場所で気づかされ、以降、強制的に自分に休みを与える時間を作りました。
それまでも母をデイサービスに預けて、仕事終わりにランチに行ったり、時間を区切ってみんなと夕食に行ったりしていましたが、仕事や用事のついでであって、自分の余暇だけのため預けることはしていませんでした。旅行好きなので、たまに母を連れて旅行にも行っていましたが、母を伴うと旅先での安全を確保するために周到な準備を要するのと、私が母の介助をするので、出かける楽しみは大いにあるけれど、休んではいない、むしろ、万全の体制を敷いている家とは違って使い勝手をカスタマイズしていなぶん負担は増えていました。かといって、母をショートステイに預けて泊りがけの旅行に行くには、数か月前に申し込まねばなりません。送迎時間までに帰宅しなくてはならないシンデレラのようなタイムリミットは相変わらずですが、日帰りだと、デイサービスでの延長さえ叶えば思いついたときに行けます。8時間を目一杯使うプランを考えるのはまた一興。日帰りで行ける範囲を旅行する遠出チャレンジをすることにしました。
手始めに、高校野球開催期間の夏休みに房総へ。
温泉に入ってから魚を食べるプランだったのですが、いざ行ってみると、前日の台風の影響でお目当ての店は臨時休業。そこからランチ営業の問い合わせをすること16件。が、お盆休みとランチとディナーの狭間の時間帯だったため、ことごとく断られ、結局、駅前のコンビニでアイスとパックのネギトロ巻きを購入し、帰りの特急の中で食べました。ディナーの時間まで待つと母のお迎えの時間に間に合わないので後ろ髪をひかれながらの帰路。温泉でゆっくりし過ぎてしまったと反省しました。問い合わせばかりして海を見る余裕もなく、お魚を食べられなかったことが何より無念……。ということで、次の日、房総を再訪。今度は美味しい江戸前穴子と白身魚の握りを満喫し、帰りにチーズ工房で出来立てチーズを買い、母の送迎時間にも間に合うように帰宅して、大満足の旅でした。
10月には新幹線で新潟へ。8月の旅で温泉の良さを再確認し、アクセスのよい秘湯という触れ込みの越後湯沢の秘湯を堪能。
11月は成田山新勝寺。二代目團十郎がご本尊に祈願して難病が平癒したとの逸話があると聞き、母の病気平癒の御祈祷に。小学生の頃、初詣はだいたい愛知県・犬山の成田山に行っていた我が家。馴染みの深い成田山なので、病気平癒が有名な千葉の成田山新勝寺には、いつか行ってみたいと思っていたのです。初詣はとんでもない混雑なので、中途半端な11月ではありましたが、「したいと思った時が適切なタイミング」ということで訪問。参道でうな重を頬張り、焼き立てのお煎餅を食べていると、母も来たかっただろうにとついよぎってしまいますが、そのマインドがよくないと、一人で充実の時間を過ごしました。
最近は日常生活に追われ、旅行したいと思うことさえ忘れていました。我慢していたのではなく、忘れていたのです。遠出なんて無理と無意識に思い込んでいたのでしょう。持続可能な介護には私自身の心身の健康も重要。自分を労わりながら続けていければと思います。
今年も親子で年の瀬を迎えることが出来ました。2024年も元気でいられるよう祈るばかり。読者の皆さんも、どうぞ良い年をお迎えください。