まさかの大ケガ!痛たたた…リハビリしながら母の介護を乗り切る工夫
タレント、アナウンサーとして活躍する“コマタエ”こと駒村多恵さんが、要介護5の実母との2人暮らしをつづります。ポジティブで明るいその考え方が、本人は無意識であるところに暮らしのヒントがあるようです。股関節と半月板を損傷してしまった駒村さん。自身の身体への負担をできるだけ減らす、介護の工夫についてのお話です。
ただいまリハビリ中
ある日、椅子に腰かけてテレビを観ながら、何気なく座り直そうとお尻をずらした瞬間、「痛たたたっ!」お尻に激痛が走りました。
この痛みは何だ? 少し前にダンスレッスンに行ったとき、膝を痛めたかもしれないと頭をよぎった瞬間はあったのですが、そのまま放置していたら、今度はお尻。これは絶対に病院に行かねば。立ち上がれない…。
スポーツ整形外科を受診し、MRIで診てもらったところ、
「股関節唇が断裂していますね。あと半月板も」
「え!?」
聞けば、股関節の骨と骨のつなぎめの「唇」は、一度亀裂が走ると元通りには治らないため、手術して縫うか、周りの筋肉を鍛えて負担のない使い方が出来るようになるかの二択。この画像を見る限り、十人に一人くらいの割合で手術になるとのこと。半月板の方は、「こっちは二人に一人の割合ですね。駒村さんの半月板は形が半月じゃなくて治りにくいんです」。
軽く考えていた私は呆然としました。もし手術となった場合、母はどうなるのか。入院したら、自宅に戻るまでに早くても3週間。そこから歩けるようになるにも相当の時間がかかります。
「とにかく、まずはリハビリを」との指示を受け、足取り重く、リハビリルームへ。どんよりしていた私に、「大丈夫ですよ! そう先生に言われても、リハビリで良くなる場合も多いですから。手術しなくてもいいように頑張りましょう!」
理学療法士(PT)さんの心強い励ましの言葉に背中を押され、私のリハビリ生活が始まりました。
当初は数分間立つことも座ることも辛く、歩くのも、そろりそろりと牛歩。そんな中での介護は、車いすのブレーキ操作ひとつとっても一苦労。些細な動作に痛みが走ります。他にも、一旦横たわった母をリクライニングベッドのちょうどいい位置にずり上げる瞬間、体位を変える瞬間。一つ一つの力みを伴う動作のたびに「イタタタ」と声が漏れます。また、しゃがみこむ姿勢は最悪で、電動ベッドの高さを上げた拍子に床にクッションが落ちた時は絶望的な気持ちに。ベッドに潜る姿勢は股関節に最も悪く、重だるさと痛みを伴いました。
ショートステイも考えましたが、予約は2か月前に申請しなければならない争奪戦。急には難しく、当面は、デイサービスの職員の方、ヘルパーさんなどに協力を仰いで移乗を手伝ってもらい、一日のトータル移乗回数をなるべく減らすようにしました。
福祉用具の工夫も考えました。移乗ボードを何種類か試してみましたが、うちのベッドはエアマットでグニャグニャしてうまく使えず断念。電動リフトも、幅を取るので狭小の我が家では不可能です。
そんななかで強い味方となったのが、移乗用のシート。大学病院で車椅子をオーダーメードしたときに教えてもらったもので、しっかり深く座らないとフィットしないので、奥までお尻を引くときにこれを使うとよいと勧められました。こまめに敷いて移乗すると随分負担が軽減され、なんとかリハビリしながら介護を続けられる気がしてきました。一方で、リハビリはなかなか光が見えない嘆息の日々。基本のスクワットさえ、PTさんからOKが出るまで1カ月かかりました(膝とつま先は平行。膝からしゃがむのではなく、お尻と膝を同時に動かして、膝がつま先よりも前に出ないようにするのが正しいそうです)。
リハビリを始めてから、スポーツ選手が「怪我で離脱」という記事を目にするたび、頑張ってほしいとしみじみ思い、復帰と聞けば、自分のことのように嬉しくなります。
今、エンゼルス戦を横目にこの原稿を書いていたのですが、大谷翔平選手が、まさかの靭帯損傷! 衝撃を受けています。ご本人の辛さ、悔しさは、いかばかりか。長いリハビリ生活を思うと私が泣きそうになりますが、リハビリは嘘をつかない! 必ずパワーアップして戻ってこられることを信じ、私も頑張ろう…。明日もリハビリに行ってきます。