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要トイレ介助の義母 頻繁に行きたがるのでしんどい【お悩み相談室】

トイレの水を流す高齢女性、Getty Images
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東京都認知症介護指導者でデイサービススタッフの坂本孝輔さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。

Q.認知症の義母(92歳)と同居しています。トイレに行くときに介助が必要なのですが、頻繁に行きたがるので、毎回こちらの仕事や家事などの作業を中断しなければならずイライラしてしまいます。我慢させるわけにもいかず、しんどいです(61歳・女性)

A.まず確認する必要があるのが、トイレに行くたびに毎回きちんと排尿があるのか、尿の色は正常かということです。本人に聞いてもわからない、もしくは聞きにくい場合、排尿の形跡を確認するのは難しいですが、こっそり音を聞く、一時的にトイレの止水栓を締めるといった方法などがあります。尿意はあるけれど排尿がない、あるいは少量ずつでも排尿があるという場合、病気が隠れている可能性があります。かかりつけ医や泌尿器科医に相談することをおすすめします。

病気が原因ではなく、毎回排尿しているわけではない場合は、背景にトイレに対する不安があるのかもしれません。認知症によって見当識障害があると、トイレを介助してもらう相談者がいつ出かけるのか、いつ作業から手が離せなくなるのか、見当がつかず不安になることがあります。そうなると、実際には尿意がなくても、相談者が家にいる今のうちにトイレに行っておこうと思うのは当然のことかもしれません。例えばお義母さんと顔を合わせるとトイレの介助を頼まれるから、なるべく自分の姿を見せないでおこうとすると、お義母さんは余計に不安になると思います。

そこで、あらかじめ「今日はずっと家にいるから、いつでも声をかけてくださいね」と伝えておくと、お義母さんは安心するのではないでしょうか。さらにお義母さんが過ごしている場所から見える位置で作業をしていると、いつでも介助を頼めるという安心感から、頻繁に行くのは避けられるかもしれません。

お義母さんが抱えている不安は、トイレに対するものだけではないかもしれません。作業中もたまに声をかける、目が合ったら微笑む、近くを通るときは触れるなど、ちょっとした気配りによって、不安は軽くなるものです。漠然とした不安感が軽減されることは、トイレの回数を減らすことにもつながると思います。

避けたいのは、トイレの回数を減らすために水分を控えること。脱水は認知症の症状を一時的に悪化させることもあります。

仕事をしながら介助が必要なお義母さんと過ごすのは大変なことも多いと思いますが、お義母さんに安心して過ごしてもらえると、BPSD(行動・心理症状)も減り、結果的に相談者の負担も軽くなると思います。

【まとめ】トイレに介助が必要な認知症の義母が、頻繁にトイレに行きたがるときには?

  • 背景に病気がないかどうか確認する
  • いつ介助してくれる人が外出してしまうかわからないという不安があるかもしれないので、あらかじめ「今日はずっと家にいるからいつでも声をかけてください」と伝えておく
  • お義母さんが過ごしている場所から見える位置で作業をする

 

 

≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました。≫

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