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今日は晴天、ぼけ日和

「また、行きたいわ」小さな旅から生まれた夢 記憶の力もよみがえる

《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

おしゃべりするひとたち

高齢の山田さんは認知症が進み、
今話したことはもちろん、
最近のことは、ほぼ忘れている。

——と、私も皆も思っていた。
けれど、それは「思い込み」だと分かった。

なぜなら、
数日前のことを
鮮やかにお話し始めたから。

「雷門! 懐かしかったわ」「ランチはあれ! まわるお寿司!」「それと、喫茶店でクリームソーダも!」「帰りは娘が・・・」「・・・」

それは、浅草への小旅行。

同行された娘さんから
詳細を聞いていたので、
山田さんのお話の正確さに、驚いた。

目の前に広がる、感動的な記憶!

紅葉の中を歩く女性

「また行きたいわ、がんばろう」 

小さな旅から生まれた夢は、
山田さんの日常、そして未来を 
鮮やかに彩る。

まずは、なにより、
認知症が進行されたお母様を
小旅行にお連れした娘さんに、
拍手喝采を! 

はた目からは元気に見えても
認知症が進んだ当事者さんが、
慣れない交通機関を利用したり、
人混みを安全に歩いたりするには
絶え間ない介助が必要です。 

また、介助者がふと目を離した隙に、
姿を消されてしまう危険もあります。 

それでも、小旅行に行ったことで、 
ご本人が普段はしない、
数日前のお話をされるようになった。 

お話はされなくとも、
機嫌よく過ごすようになった、というのは、
当事者さんと、ご旅行に行った経験がある方には、
「よくある話」ではないでしょうか。

以前から、
小旅行を年間スケジュールに組んでいる
高齢者施設もありますし、

また新たに全国で
支援者さんや若年性認知症当事者さんから、
「認知症当事者さんと、ご家族の旅を応援したい」
との、力強い声も聞きます。

楽しむために、旅にでる。
そこには想像以上の
鮮やかな効果がありそうです。

《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》

前回の作品を見る

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