認知症とともにあるウェブメディア

今日は晴天、ぼけ日和

無人レジやタッチパネル 「お声がけください」の貼り紙が大きな救いに

《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

本を読むひと

僕は、町の小さな雑貨屋さん。
本当はもっと、
地域の役にたちたい。

そんな時、
ふと、目についた「認知症」

なにかできるかもしれない。

「夕飯、作っちゃうね」「パパー」「えっえっ」「ふ、ぎゃぁぁ」

介護職の友人に相談したら、
読むべき本や、
認知症サポーター養成講座を
勧められた。

でも、僕は日々、
生活をこなすだけで精いっぱい。
時間がない。

——あきらめようか。

「こんにちは」認知症などで、お買い物にご不安がある方は、お声かけください。店主より

それならと、今すぐできる一歩を踏み出した。

貼り紙をだしたり、

「いらっしゃいませ」をやめて、
来た人が話しかけやすくなるようにと
「こんにちは」に変えた。

まずは、目の前のひとりに。
でもきっと、大きな一歩。

先日、ある店主さんから
「高齢者のサポートをしたいけれど、なにができるだろう?」と
ご相談がありました。 

私がよく行くお店でも
高齢者のサポートを心掛けていらっしゃるところが、数軒あります。 

そちらで行われている
「ご不安のある方はお声がけください」
といった貼り紙をするなどの
取り組みをお伝えしました。

小さな一歩でしょうか?
いえいえ、大きな一歩です!

無人レジに、タッチパネル。
最近のお店の進化・変わりようは、
認知症当事者さんや
ご家族の間でも問題になっています。

複雑になっていくシステムに
「父が怖がって、外に出なくなってしまった。
 認知症です、と目立つ名札を付ければいいのか」と
話されていたご家族の姿が忘れられません。 

反対に、高齢者のサポートを心掛けているお店に対しては
「母はあの店を知ってから、安心して外に出るようになった」
という声も聞きました。 

そうしたお店では、
会計は、後で家族がすることができたり、
買い物をしなくても、休むだけの椅子があったりと、
様々な配慮がされています。 

お店によって内容は様々ですが、
なにより、認知症当事者さんが
「認知症である」という心身の繊細な情報を、
そっと共有できているということ。 

これは、当事者さんやご家族にとって、
そうとうに頼みの綱となるのです。 

「あなたには、なにが必要ですか?」と 

ひとりに聞いてくれる人が
町にいてくれる温かみ。 

その灯(あか)りが、全国に広まるのを願います。

《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》

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