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今日は晴天、ぼけ日和

カーテンで仕切られたトイレに入りたい? 安全だけではない大切なこと

《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》

トイレを案内するひと

娘に勧められて、
今日は初めての、デイサービス。

緊張から、来てすぐに
トイレに行きたくなった。

すると当然のように、
ここに案内された。

人の視線を感じながら用をたすひと

男女共用。
ドアの代わりに、カーテン一枚。
すぐそばには、スタッフさんの気配。

……人間扱いされていない?

それは、言い過ぎでしょうか。

トイレについて考えるひと

どんなサービスよりも
私はただ、
当たり前がほしいだけ。

あなたはあのトイレで
用を足したいと思いますか?

これはある人が、経験した実話です。

残念ながら珍しい話でもない、
というのが、正直なところです。

私はご縁があって、
少なくとも10以上の
高齢者施設を拝見させて頂きました。

その上で、

「トイレは、
 その施設のケアの質が
 可視化されやすい」

というのが個人的な見解です。

色々と見るポイントはありますが、
大事なのは、使用時です。

男女共用、カーテンだけのしきりであっても、
利用者のプライバシーを徹底して守っている、
施設もありましたし、 

プライバシーの守られた個室があっても、
使用中は異変を察知できるように、
外側のドアは全開にして、
見えやすくする施設もありました。

私も介護スタッフだったので、
安全を第一に、
プライバシーを二番にしがちになる心境は
痛いほどわかります。 

それでも、
人の最大のプライベートな部分を、
どう守ろうとしているか。

それは、スタッフさんたちの気概と
その施設のケアの質を
顕著に表すのではないでしょうか。

どの高齢者施設を利用しようか、迷った時に、
気にかけて頂けたらと思います。

《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》

前回の作品を見る

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