要介護認定とは? 8区分の詳細と介護保険、申請の流れについて専門家が解説

要介護認定とは? 要介護・要支援の8区分と介護保険について

自分や家族に介護が必要になった、もしくはこれから介護が必要になるかもしれない……そんな時に活用できる介護保険サービス。初めて利用する場合には「手続きが複雑そう」「お金がかかりそう」といった不安も大きいでしょう。そこで、申請方法や要介護度の区分の違い、利用できるサービス、かかるお金などについて解説します。

要介護について解説してくれたのは……

結城康博・淑徳大学総合福祉学部社会福祉学科教授
結城康博(ゆうき・やすひろ)
淑徳大学総合福祉学部社会福祉学科教授
1992年淑徳大学社会福祉学部卒業。99年法政大学大学院社会科学研究科修士課程(経済学専攻)修了、2004年法政大学大学院社会科学研究科博士課程(政治学専攻)修了。介護職やケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護系の仕事に10年間従事。現在は経済学や政治学をベースに介護と医療を中心とした社会保障政策の研究に従事する。著書に『介護職がいなくなる ケアの現場で何が起きているのか』(岩波書店)、共著に『わかりやすい社会保障制度』(ぎょうせい)などがある。

要介護認定とは?

要介護認定は、なぜ受ける必要があるのでしょうか。認定の目的や条件について説明します。

介護サービスを使うために必要なもの

公的な社会保険の一つである介護保険。40歳以上になると国民一律に支払い義務があり、保険料を納めることによって、さまざまな介護サービスが受けられます。

しかし、実際に介護サービスを利用するには、「要支援」あるいは「要介護」であるという認定を受ける必要があります。認定されてはじめて、その区分に応じたサービスが受けられるのです。

 原則65歳以上、特定の病気なら40歳から可能

介護サービスを受けるためには、次の2つの条件のうち、どちらかを満たしている必要があります。

  1. 65歳以上で要介護状態、もしくは要支援状態である
  2. 4064歳の医療保険加入者で、末期がん、関節リウマチなどの特定疾病によって、要介護状態、もしくは要支援状態である

申請から認定の手続き

要支援・要介護度認定の手続きについて、申請から認定までの流れや申請方法などについて説明します。

申請から認定の流れ

1. 申請

役所の介護保険課や高齢者福祉課など介護保険サービスの担当窓口で、要支援・要介護認定の申請をします。申請の際には、介護保険被保険者証と個人番号(マイナンバー)の記載が必要です。4064歳の人が申請する場合は、医療保険証が必要です。

2. 認定調査

認定調査員が申請者の自宅(施設に入居中の人や病院に入院中の人は、その施設や病院)を訪問し、聞き取り調査や身体機能の確認をします。

3. 主治医意見書の提出

申請を受けた市区町村が、申請者の主治医に医学的な意見書の作成を依頼します。 

4. 一次判定

認定調査や主治医意見書をもとに、コンピューターが全国一律の基準で一次判定を出します。

5. 二次判定

「介護認定審査会」が実施され、要支援・要介護度が判定されます。

本人が申請できない場合

本人が申請できない場合は、家族や親族のほか、地域包括支援センター、居宅介護支援事業者、介護施設(本人が入居中の場合)などが申請を代行できる場合もあります。

①申請をすると、②認定調査員が申請者宅を訪問。コンピューターによる一次判定の後「介護認定審査会」が実施される。二次判定で要支援・要介護度が判定され、申請から30日程度で判定結果が郵送される
①申請をすると、②認定調査員が申請者宅を訪問。コンピューターによる一次判定の後「介護認定審査会」が実施される。二次判定で要支援・要介護度が判定され、申請から30日程度で判定結果が郵送される

審査のチェック項目

認定調査では、市区町村の担当者が申請者の自宅などを訪問し、聞き取り調査を行います。審査は、介護にどれくらいの手間(時間)がかかるのかを判断する「要介護認定等基準時間」によって行われます。基準時間として計算される内容は次の5つで、1日の中でこれらにかかる時間を計算して審査します。

① 直接生活介助(身体介護)
  入浴や排せつ、食事など体に直接触れて行う介助
② 間接生活介助(生活援助)
  洗濯や掃除など、日常生活を送るうえで必要な介助
③ BPSD関連行為
  主に認知症による一人歩きや不潔行動の対応
④ 機能訓練関連行為
  身体機能の訓練や補助
⑤ 医療関連行為
  呼吸管理や床ずれに関する処置

申請から認定までの期間

認定結果は、申請から原則30日以内に自宅に郵送されます。

有効期間がある

要支援・要介護度の有効期間は、初回認定の際は原則6カ月、2回目以降は原則1年、最大で48カ月となります。継続してサービスを受けるためには、再申請する必要があります。期限が切れる2カ月ほど前に市区町村から再申請の案内が届きます。再申請の手続きができるのは、有効期間が切れる日の60日前から有効期限が切れる日までです。新規の申請時と同様に役所の介護保険課や高齢者福祉課など介護保険サービスの担当窓口で、更新の手続きをして認定調査を受けます。

サービスを継続して受けるには再申請が必要。期限が切れる60日前から再申請できる
サービスを継続して受けるには再申請が必要。期限が切れる60日前から再申請できる

不服の時は

認定結果に納得できない場合は、役所の担当課に相談します。結果通知書が届いてから90日以内に各都道府県にある介護保険審査課に不服申し立てを申請することができます。

 ただし、不服申し立ての結論が出るまでには数カ月かかります。そこでもう1つの方法として、区分変更を申請するという方法もあります。有効期間内に状態が変化した場合は、区分変更を申請できますが、短期間で状態が変化することは、誰にでも起こることです。このため認定結果が出てから間をあけずに区分申請することは可能です。

 実情と要支援・要介護の区分が一致するようにするためには、自宅を訪問した調査員に、できるだけ家族が本人の日常生活の様子を伝えることが大事です。また、意見書を書いてもらう医師は、普段から診てもらっているかかりつけ医に依頼することをおすすめします。

要支援認定、要介護認定の違い

要支援と要介護では、受けられる介護保険サービスが異なります。具体的にどのような状態を指すのか説明します。

要支援認定とは?

「要支援状態」の定義は、「身体上、または精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部または一部について、厚生労働省が定める期間にわたり継続して、常時介護を要する状態の軽減、もしくは悪化の防止に特に資する支援を要すると見込まれ、身体上、または精神上の障害があるために、厚生労働省が定める期間にわたり継続して、日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態」と定義されています。簡単にいうと要介護状態に比べて介護の必要度が低く、適切な支援を受けることで、要介護状態に進むのを予防することが期待できる状態を指します。こうした状態に該当すると、要支援と認定され、さらに状態によって12に分けられます。

※ 要支援について詳しくはこちらにも「『要支援』と『要介護』どう違う?専門家が詳しく解説します」

要介護認定とは?

「要介護状態」の定義は、「身体上、または精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部または一部について、厚生労働省が定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態」と定義されています。こうした状態に該当すると、要介護と認定され、さらに状態によって15に分けられます。

介護保険の適用は要介護の段階によって異なる

介護保険制度では、要支援・要介護度によって、介護サービスの量や種類が決まっています。
要支援と認定された人は「予防給付」、要介護と認定された人は「介護給付」というサービスを受けられます。

 介護保険サービスは、「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」に大別される
介護保険サービスは、「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」に大別される

介護保険サービスの種類は、大きく分けると自宅にいながらサービスを受けられる「居宅サービス(訪問介護や通所介護など)」、施設に入居した人に提供される「施設サービス(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など)」、地域に住む高齢者に提供される「地域密着型サービス(小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護など)」があります。

① 居宅介護サービス
  ・訪問サービス(訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリ)
  ・通所サービス(通所介護、通所リハビリ)
  ・短期入所サービス(短期入所生活介護、短期入所療養介護)
② 施設サービス
  ・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  ・介護老人保健施設
  ・介護療養型医療施設
 ・介護医療院
③ 地域密着型サービス
 ・訪問通所型サービス(小規模多機能型居宅介護、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護)
 ・認知症対応型サービス(認知症対応型通所介護、認知症対応型共同生活介護)
 ・施設・特定施設型サービス(地域密着型特定施設入居者生活介護、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護)

要支援・要介護の8つの区分

要支援・要介護度は、自立(非該当)、要支援12、要介護158つ区分があります。それぞれ解説します。

自立(非該当)

歩行や起き上がりなどの日常生活上の基本的動作を自分で行うことが可能であり、手段的日常生活動作※を行う能力もある状態です。介護保険サービスは受けられません。

※ 手段的日常生活動作

食事、排せつ、入浴などの基本的な日常生活動作よりも複雑な動作のこと。具体的には掃除、料理、洗濯、買い物などの家事、交通機関の利用、電話対応などのコミュニケーション、スケジュール調整、服薬管理、金銭管理などの日常生活動作を指す

要支援1

日常の基本動作のうち、食事や排せつなどはおおむね自力で行える状態。立ち上がる時、起き上がる時など一部支援が必要な状態です。

要支援2

一次判定で「要介護1相当」と判定されたのち、二次判定で「心身が不安定で短期的に要介護度の重度化が予想される」「または認知機能の低下などにより介護予防給付についての理解が困難な場合」を除いたケースが該当します。

 要介護1

要支援状態から、手段的日常生活動作を行う能力がさらに低下し、部分的な介護が必要となる状態。立ち上がりや歩行が不安定です。

 要介護2

要介護1の状態に加え、日常生活動作についても部分的な介護が必要となる状態。歩行や入浴、薬の内服、金銭の管理といった能力の低下がみられます。

 要介護3

要介護2の状態と比較して、日常生活動作および手段的日常生活動作の両方の観点からも著しく低下し、ほぼ全面的な介助が必要となる状態。認知症の場合には、症状に対応が必要な状態です。

要介護4

要介護3の状態に加え、さらに動作能力が低下し、介護なしには日常生活を送ることが困難となる状態。認知症の場合には、昼夜逆転や一人歩きなどがあります。

要介護5

要介護4の状態よりさらに動作能力が低下していて、介護なしには日常生活を営むことがほぼ不可能な状態。認知症の場合には、理解力が全般的に低下し、意思の伝達ができない状態です。

要支援・要介護で使えるサービス・プラン作りは?

認定結果が出たら、どの介護サービスをどのように組み合わせ、どのようなスケジュールで利用するのか、具体的な計画「ケアプラン」を立てます。

要支援は地域包括支援センターでプランづくり

要支援と認定された場合、サービスを利用するためのケアプランの作成やサービス事業者との連絡、調整は地域包括支援センターが担います。地域包括支援センターのケアマネジャー(介護支援専門員)などが利用者の心身の状態や生活環境を確認し、本人や家族の希望を聞いたうえで、その市区町村で使える介護予防サービスの中から必要なサービスを選び、介護保険の支給限度額内におさまるように、ケアプランを立てます。

要介護はケアマネジャーとプランづくり

要介護と認定された場合、居宅介護支援事業者のケアマネジャーがケアプランを作成します。依頼を受けたケアマネジャーが、本人や家族の希望を聞いたうえで、利用者の心身の状態や生活環境を確認し、どのサービスをどのように利用するのかといったケアプランを作成します。

 

担当となったケアマネジャーが、本人や家族の希望を聞いて最善のケアプランを作成する。ケアプラン例:要介護1の場合 月曜9時〜17時:デイサービス、火曜11時〜12時:訪問介護、水曜9時〜17時:デイサービス、木曜11時〜12時:訪問介護、金曜9時〜17時:デイサービス、土曜11時〜12時:訪問介護
ケアプラン例。担当となったケアマネジャーが、本人や家族の希望を聞いて最善のケアプランを作成する

お金の負担は

要支援・要介護と認定されると介護保険を利用したサービスを受けられますが、一部は自己負担となります。自己負担の割合や毎月の支給限度額について説明します。

自己負担は原則13

介護保険サービスを利用した場合、かかった費用の1割を利用者が負担します。一定以上の所得がある人は、2割、または3割負担となります。
※「高額介護サービス費」について詳しくはこちら

支給限度額とは? その中でサービスを組み合わせる

介護保険は、要支援・要介護度の区分によって、月額で給付額の上限(支給限度額)が決められています。上限を超えてサービスを利用する場合は、超過分が全額自己負担となります。

在宅サービスの1カ月あたりの支給限度額


在宅サービスの1カ月あたりの支給限度額 要支援1:50,320円(自己負担額1割:5,032円、2割:10,064円、3割:15,096円)、要支援2:105,310円(自己負担額1割:10,531円2割:21,062円、3割:31,593円)、要介護1:167,650円(自己負担額1割:16,765円2割:33,530円、3割:50,295円)、要介護2:197,050円(自己負担額1割:19,705円2割39,410:円、3割:59,115円)、要介護3:270,480円(自己負担額1割:27,048円2割:54,096円、3割:81,144円)、要介護4:309,380円(自己負担額1割:30,938円2割:61,876円、3割:92,814円)、要介護5:362,170円(自己負担額1割:36,217円2割:72,434円、3割:108,651円)

介護報酬改定(201910月)以降

【要支援2】Aさんのケース

1カ月あたりの支給限度額 105,310円(1割負担の場合の自己負担額10,531円)
・介護予防訪問入浴
全身入浴(1回)849円×8回=6,792円
・介護予防通所リハビリ(デイケア) 
1カ月3,634円
自己負担額の合計 10,426円(デイケアでの食費などの日常生活にかかる費用は別途)

【要介護1】Bさんのケース

1カ月あたりの支給限度額 167,650円(1割負担の場合の自己負担額16,765円)
・通所介護(デイサービス)
9時~16時までの7時間、月・水・金の週に3回
655円(1回)×13日=8,515円
・訪問介護(ホームヘルパー)
11~12時までの60分間、火、木、土の週に3回
身体介護395円(1回)×13日=5,135円
自己負担額の合計13,650円(デイサービスでの食費などの日常生活にかかる費用は別途)

※ 費用は利用する事業所によって異なる場合もあります
介護報酬の算定構造(厚生労働省)

相談窓口紹介

地域包括支援センター
すべての市区町村に設置されている行政機関。ケアマネジャー、保健師、社会福祉士などの専門家がいて、介護保険に関するさまざまな相談を受けつけています。また、介護保険の申請代行も行っています。要支援の場合は、ケアプランの作成も担います。

役所の介護保険課や高齢者福祉課
介護保険の申請窓口であると同時に、介護保険に関するさまざまな問い合わせにも対応し、電話相談も受けつけています。

「地域包括支援センター」について詳しくはこちら
要支援について詳しくはこちらにも

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