コロナに「慣れた」その意味は、感じているものとかけ離れていました
《介護士でマンガ家の、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
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もう、マスクにも慣れてしまった。
「コロナ」が来てから、随分たつ。
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私自身への感染など、気にしてる暇はなかった。
慣れるしかなかった。
目の前の人を、守るために。
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患者さんと、会えなくなったご家族をつなぐのも、私。
増えた役割を一身に背負って、
さまがわりした日常を、生きている。
先日、病院勤務の介護士さんから、
近況を伺うことがありました。
「コロナ下の勤務に、慣れてしまった」
そう、笑顔で話す彼女の、
介護士としての「慣れ」は、
最近、私が感じるようになった
コロナ下に対する慣れとは、
かけ離れているように思いました。
病院に勤務し、人の命に添い、
コロナ下で新たに生まれた日常に
「慣れた」とは、
どれほどの重圧からの言葉でしょうか。
私も以前は、
感染したら命に関わるだろう、
高齢の方や病をもつ人たちのことを
思って、手洗いやうがいし、
行動を起こしていたはずでした。
けれど、最近いつのまにか、
そういった方々を忘れ、
コロナ下に慣れてしまった自分が、
いるのです。
そして、今、
また感染者が急増しています。
今度こそ、どう行動してゆくか。
自分本意になりがちな心に、
問いかけています。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
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