認知症とともにあるウェブメディア

介護施設で、あるある探検隊♪

これぞ気絶もの「オンライン洗礼」と天の声 あるある探検隊の活動報告47

「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ・レギュラーの松本くんと西川くんは、いま全国の介護施設をまわって、お年寄りたちを笑顔にする活動をしています。ところがここ数カ月、世界的に蔓延する新型コロナウィルスの影響で、思うように活動ができません。今回は、まだまだ営業の現場に行けない芸人たちがオンラインに集結したプレゼンテーション・イベントの模様を紹介。ここでレギュラーの2人は、オンラインでできる介護レクリエーションの講演会をプレゼンしたのですが……。

オンラインイベントに臨むレギュラーのお二人
写真は毎回、レギュラー公式マネジャーがスマホで撮影した「渾身」の1枚です!

「よしもと芸人オンラインイベントお披露目会」と題されたイベントが6月下旬、ビデオ会議サービス「Zoom」を使ってネット配信された。ウィズコロナ時代を迎えて、オンライン上でおこなわれるイベントに芸人を派遣するという、吉本興業が新たに始めた事業をPRするための試みだ。

当日は、30組以上の吉本芸人たちが代わるがわるZoom画面に登場し、「漫才」「落語」「学園祭」「講演会」「ワークショップ」「ディスカッション」といった各ジャンルで、オンラインイベントならではのネタやトークを実演。画面の向こう側にいる全国の広告代理店やイベンター、メディアなどの担当者らに向けて“新しいスタイル”をアピールした。

登場したのは、EXIT、アインシュタイン、ミキ、見取り図など今をときめく若手芸人から、闘病中の宮川大助・花子の宮川花子や西川のりおといったベテラン勢まで。
そのなかで、レギュラーの2人も約30分間出演。これまでリアルの介護関連イベントでやってきた“楽しみながらタメになる”レギュラー流介護レクリエーションの講演会メニューを、オンライン向けにアレンジして再現した。

たとえば、レギュラーのオリジナルゲーム「満腹アヒルの大冒険」。松本くんが自分の唇を指でつまみ、アヒル口にしながら言う料理の名前を当ててもらう、おなじみのレクリエーションのオンライン版はこんな感じだ。

「♪満腹アヒル、なに食べた?」

手拍子と一緒に松本くんのかけ声でスタートするのは、いつもどおり。しかし、ここからがオンラインならではの試みだ。

「ング、フグーグ! さあ、なんでしょう。わかった人は“チャット画面”で答えてください!」

そう、Zoomのチャット機能(ライブ映像とは別にリアルタイムで文章のやりとりができる機能)を使って、答えを募ろうという作戦だ。実際、Zoom画面の横にあるチャット画面には、ネットでつながった参加者たちから答えが書き込まれていく。

「(画面上に文字で)カニチャーハン?」

「はい、カニチャーハンときました!」と読み上げる西川くん。

「カニチャーハン! あー、違います。お米は使っていません」

「僕もわからへん。えっと、なんやろ……松本くん、もう1回やってや〜」

という具合に、オンラインでも2人の介護レクの手応えは上々だったのだが、実際にはハプニングもあって……。

松本くん しかし、おもしろいイベントやったね。人気若手芸人たちが学園祭で盛り上がりそうなネタをやったかと思えば、宮川花子師匠が「花子のいきいきライフ」と題して闘病の話をしはったり。お料理のワークショップや子育て論のディスカッションがあったり……。

西川くん ほんま、いろいろ盛りだくさんで、オンラインの可能性を感じさせる新しい時代のイベントやったな。こんな限定イベントだったのに、何百人もの人が参加してくれたらしいで。パソコンで気軽に見てもらえるっていうのは、オンライン営業のメリットやね。

松本くん そのなかで僕らは30分の持ち時間があって、いつも介護イベントなどでやっている講演会をオンラインで紹介させてもらった。もちろんオンラインイベント用だから、介護レクリエーションの実演もオンラインバージョンやで。

西川くん イベント自体が新型コロナの影響で次々と中止になってたから、今回のお披露目会はほんま、ありがたかったな。いままさにオンラインでの「型」を模索している僕らも、やる気が出るってもんや。

松本くん そうはいっても、慣れないオンラインだけにトラブルもいろいろあったな。なかでも驚いたのは……。

西川くん 音声問題!

松本くん そう、いつもの舞台は、そでから「どうも〜」って言いながら小走りで登場するけど、そこはせっかくのオンライン講演会。ということで、画面の下からピョコンと2人で飛び出して「どうも〜レギュラーでーす」みたいな、インパクト重視の登場を考えてたんやけど……。

西川くん ほんま、2人で念入りに打ち合わせたのにな。「キャッ」と言って飛び出してね。それ自体はスムーズにいって、これで画面の向こうの人たちのハートをがっちりつかんだやろ!と思いながらネタを始めて、1〜2分過ぎたころや。「あー、レギュラーさん、レギュラーさん」というMCの“天の声”が聞こえてきた。

松本くん なにかと思ったら、「すみません! なぜか音声がまったく出てません」って……。登場の「キャッ!」も、そこから続くテンション最大のかけあいも、すべて無音だったってことや。

西川くん “気絶”したで、ほんま。オンラインではよくありそうなトラブルやけど、僕らの前に登場したEXITもアインシュタインも、あんなに問題なく聞こえてたのにな。

松本くん いやー、さっそくオンラインの“洗礼”やったな。でも今回、チャット機能を使って、ある意味インタラクティブな形で初めて「満腹アヒル」をやってみたけど、ものすごくいい勉強になった。
チャット機能があるからそれを使おう!と思いついたまではよかったけど、実際にやってみると最初はギクシャク。画面の向こうの参加者たちも手探りで、僕が「わかった人はチャット画面に書いてください!」とノリノリで問いかけても、チャットのリアクションはシーーン……。

西川くん また音声が止まっちゃったのかと思ったわ(笑)。でも、しばらくすると何人かがチャットで答えてくれて、そこからはどんどん書き込みが増えていった。やっぱり最初に書き込むのは、抵抗あるんやね。

松本くん 終わってみれば、オンラインの「満腹アヒル」は、チャットでもまったく違和感なく進められた。それがわかったのは、大きな収穫や。掛け合いが僕らの介護レクの醍醐味やからね。チャットであれだけできたのは自信になったわ。

西川くん 一方で、当日は「ノーズイヤークロス」(別名「鼻クロス」:右手で鼻を、左手で右耳をつまみ、手を叩く合図で左右を入れ替えるシンプルなゲーム)もやってみたけど、体を動かす系のレクリエーションは、間違えるのを見てツッコむのが基本形だから、場の空気をつくるのがちょっと難しかったな。

松本くん 見ているかのようにツッコむ、というワザでしのいだけど、限界があるからな(笑)。やっぱり施設の利用者さんたち相手だったら、文字のチャットだけじゃなくて、ライブ映像でつないでやりとりできたほうがやりやすいんだろうな。

西川くん そのへんのツールの問題は、これからどんどん改良されていくやろうね。
とにかく、イベント自体がなかなか成立しない時期だけど、こういう取り組みがなにかのきっかけになったら嬉しいな。実際、オファーはどうなんやろ。

マネジャー ……まだです。

松本くん まー、オンラインイベントは、まだまだ手探りやからね。新しいことを受け入れてもらうのには多少時間がかかるもんや。ゴッホだってそうや!

西川くん 松本くん、それはたしかにアルな!

「コロナ禍を生きぬく~認知症とともに」 の一覧へ

あわせて読みたい

この記事をシェアする

この連載について

この特集について

認知症とともにあるウェブメディア