介護施設で、あるある探検隊♪

「返事が遅いわ」で帰る孫 でもそれが刺激的!あるある探検隊の活動報告46

「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ、レギュラーの松本くんと西川くんは、いま全国の介護施設をまわってお年寄りたちを笑顔にする活動をしています。ところがここ数カ月、世界的に蔓延する新型コロナウイルスの影響で、思うように活動ができません。再び施設のおじいさん、おばあさんたちを楽しませる日がくるまでは、自分たちの介護レクリエーションに磨きをかけるため、勉強あるのみ! 今回は、そんな中で出合った、認知症をテーマにしたとある絵本を紹介します。

レギュラーと介護施設のみなさん
写真は毎回、レギュラー公式マネジャーがスマホで撮影した「渾身」の1枚です!

「知り合いが認知症を扱った絵本を出版しました。介護レクリエーションの活動をしているレギュラーさんに読んでほしいので、もしよかったらお送りします」

そんなメッセージが、松本くんのインスタグラムに届いたのは数カ月前。認知症? 絵本? 不思議な組み合わせに興味を持って、さっそく送ってもらうことにしたという。

そうして届いたのが、『ちいばあちゃんのひみつ』(間宮浩美著、文芸社)という絵本だった。

あらすじは、ざっとこうだ。
主人公は、82歳のちいばあちゃんと5歳のひ孫の「りゅうせい」くん。ふたりは仲良しで、いつも一緒。でも、ちいばあちゃんには不思議なところがあって……。
たとえば、

<ちいばあちゃんは、おかいものが だいすき。
れいぞうこのなかには、ジュースが1・2・3……20ぽん。
たまごが1・2・3……30こ。
なっとう とうふ ヨーグルトも いっぱい。
「ちいばあちゃん きのうも ジュースかってきたのに
きょうも かってきたの?」
「そうだったかい。まあー いいじゃないか。
あって こまることは ないさ」
(中略)
「でも、このことは みんなにはないしょだよ。おばあちゃんと りゅうせい ふたりだけの ひ・み・つ」>

日に日に増えていく、ちいばあちゃんとの「ひ・み・つ」。こうして認知症が始まったおばあちゃんとの生活を、子どもならではのあたたかい、そしてちょっと切ない目線で描いている。

オンライン書店のレビューには、「子どもに認知症のことを伝えたくて購入した」という読者の声もあったが、レギュラーの2人が感じたのは、高齢者と子どもが一緒に生活することの大切さだ。自分たちの活動で、お年寄りと子どもたちの接点をもっとつくることができたらいいな、と改めて考えさせられたのだった。

西川くん 6月になって吉本の劇場も、客席制限はありながらも再開したし、多くのお店は営業解禁になっている。でも、僕らの介護レクリエーションはどうなるんやろ。高齢の利用者さんたちに僕らが万が一、新型コロナを感染させるようなことになったら……と思うと、まだ施設に介護レクをやりに行くことは踏み切れへんな。

松本くん この前のオンライン介護イベントのように、新しいことにもどんどん挑戦したいし、一方で、また施設を訪問するようになったら、あんなこともしたい、こんなこともしたいっていうプランがどんどん生まれてるよね。だけど現実の見通しは、なかなかな……。早くおじいちゃんやおばあちゃんたちに会いたいなあっていう気持ちを、さらに加速させたのがこの絵本や。

西川くん 僕も読ませてもらったけど、おばあちゃんがいろんな物忘れをしていくなかで、子どもが不思議がって戸惑ってる。でも、おばあちゃんは「ふたりのひみつだよ」とお茶目に笑ってみせる。おばあちゃんが大好きなひ孫の気持ちにほっこりすると同時に、ちょっと切ない気持ちにさせられるな。

松本くん だけど、子どもとお年寄りが一緒に生活するってええことやなって、つくづく思ったわ。昔から子どもを叱るのは、おじいちゃんやおばあちゃんの役目のことが多かった。そこでバランスが取れていた。現代になって、子どもは少なくなって、おじいちゃんやおばあちゃんは施設に入ってしまっているけど、いい環境がつくれればお互いにとってプラスになるはずや。

西川くん 最近では、高齢者用の介護施設などと保育園や児童館などの子ども用の施設が併設された「幼老複合施設」っていうのも、注目されているからな。

松本くん 実際、この連載コラムでも前に紹介したことがあるけど、系列の幼稚園とスカイプで結んで、毎日のように交流している介護施設があったやん。利用者さんが1年間、同じ園児とコンビを組んで成長を見守っていたな。

西川くん あったな〜。幼稚園の子どもと、デイサービスの高齢者がタブレットで交流してた。すれ違いながらも、なぜか気が合ってたやろ。

松本くん 子どもは誰が相手でも容赦ないのがええんやないか。タブレットのテレビ電話での交流でも、おじいちゃんに話しかけてすぐに返事がないと、「返事が遅いわ。もう行く!」とか言って、プイとどこかに行ってしまう(笑)。

西川くん たしかに、逆にそういうのが刺激になるのかも。施設のスタッフさんは、絶対そんなこと言わへんもんな。

松本くん 施設に介護レクに行ったときも、お子さんの参加者がいるといないとでは、会場の雰囲気がまったく違うよな。ゲームをやっても、子どもは平気で失敗したりズルしたりするやろ(笑)。おじいちゃんおばあちゃんじゃなくても、見ていておもしろいからね。

西川くん お年寄りの失敗は笑いづらいけど、子どもなら笑えるのがいい。あと、子どもに何かを教えることで、おじいちゃんおばあちゃんたちの回想法になっていることもあるしな。たとえば、昔の遊びを一緒にやったりするだけで、自然と介護レクリエーションになる。僕らがどんなにがんばっても、かなわへんところがあるな。

松本くん そういえば僕の知り合いが、「孫が面会に行ってもつれなかった認知症のおばあちゃんが、生まれたばかりのひ孫を連れて行ったとたんフレンドリーになった」って言ってた。急に目つきから何から優しく変わったって。

西川くん 絵本を読んで僕はもうひとつ、沖縄のおじいおばあのことを思い出した。子どもとお父さんお母さん、それからおじいおばあの3世代で、サトウキビの収獲をしていた家族がおったやないか。

松本くん 10年前にテレビ番組の企画で1年間、宮古島に住んだときのことやね。3世代のなかでも、いちばん元気に働いているのがおじいとおばあやったという。

西川くん そうそう(笑)。宮古島ほどじゃないけど、僕らが子どものころって、まだまだおじいちゃんおばあちゃんとは密な関係やったやん。祖父母と孫が一緒に住んでいる家も、いまよりずっと多かった。それが施設に入る人が多くなって、孫ともなかなか会えない。特にいまはまだまだ面会が制限されているところが多いしな。

松本くん だから僕らの介護レクが、子どもたちが施設に遊びに来るきっかけになればいいなと思うんや。いまだったら、オンラインでお年寄りも子どものみんなも繋いでな。お笑いとかゲームとか、一緒に楽しめたらええな。

西川くん 松本くん、それはたしかにアルな!

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