ゴミ箱に薬が…勝手に減薬する母 きちんと服薬してほしい【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
認知症介護指導者の白石昌世司さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。
Q.同居している母(80代)は、リウマチや骨粗しょう症、膠原病などの持病があり、10種類近くの薬を処方されているのですが、勝手にアレンジして飲む薬を減らしています。私が出勤前に準備しても数種類がゴミ箱に捨てられていることがあり、困っています(50代・女性)
A.お母さんが減らしたり、捨てたりしている薬は、いつも同じ種類のものでしょうか。それとも無作為に選んでいるのでしょうか。そのあたりがわかると、お母さんが勝手にアレンジしている理由が見えてくると思います。いつも同じ種類の薬を飲まないのであれば、ほかにも似たような薬を飲んでいるから不要だと判断している、またはその薬を飲むと副作用の症状が出るといったことが考えられます。無作為に薬を捨てているのであれば、数種類を飲んでいる途中でお腹がいっぱいになったり、面倒になったりといったこともあるかもしれません。あるいは認知機能に変化があり、判断力や思考力が低下しているということも考えられます。
高齢で耳が遠い、理解力が低下しているという場合にありがちなのが、主治医の言葉を間違えて受け取ってしまうケースです。例えば処方されている薬の中に下剤があり、主治医から「調子がよければ飲まなくてもいいですよ」と下剤についてアドバイスを受けたのに、ほかの薬も含めたアドバイスだと受け取ってしまうというようなことです。
いずれにしても10種類の薬を服用するのは、負担が大きいと思いますし、多剤併用による健康上の影響、飲み忘れ、飲み間違いなども問題となっています。まずは主治医に現在のお母さんの状況を相談してほしいと思います。薬の種類を減らせるかもしれませんし、1回に飲む薬の種類を減らすために、朝と昼に分ける、薬を飲むタイミングを1日1回にして相談者が家にいる時間帯に服用できるようにするなど、なんらかの対応をしてくれるのではないでしょうか。
病院の予約の日まで間がある場合は、薬局に行って相談するといいと思います。複数の病院にかかっている場合、それぞれの病院の近くにある薬局をいくつか利用しているケースがありますが、かかりつけ薬局は1つにしぼるのがおすすめです。各病院や薬局でお薬手帳を見せているとは思いますが、かかりつけ薬局があると似たような薬が複数処方されるといったことが見逃されにくくなると思いますし、服薬についても相談しやすいはずです。
医師や薬剤師に相談して対応したとしても薬を勝手に捨てることが続くようであれば、認知症も疑われます。要介護認定を受けて、訪問看護、訪問薬剤師を利用するなど、お母さんの服薬を支援する人を増やすというのも1つの方法です。
服薬はお母さんの病気にも関わる大事なことなので、1人で抱え込まず、専門家に相談してほしいと思います。
【まとめ】同居している母が処方されている薬を勝手に減らして困っているときには?
- 減らしている薬がいつも同じ種類なのか、無作為に選んでいるのかを確認する
- 主治医に今のお母さんの状況を相談して、服薬の回数を減らすなどの対応をしてもらう
- かかりつけ薬局を持ち、薬剤師に相談する
≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました≫