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五十路娘 母の住まい探しに迷走中!

能天気な母がうつ? 母が入退院を繰り返す中、巡りあえた理想のホーム!

お年寄りあるある?体調がコロコロ変わる「元気になったよ」翌日再入院『母がうつ?』うーん、会えないのがもどかしい

いつかはやってくると思いつつ、ついつい先送りしてしまう親の介護の準備。関西在住のイラストレーター&ライターのあま子さんもそんな一人。これまで一人暮らしを続けていた母が、2022年正月早々に転倒し、骨折→入院という経緯で認知症を発症。いったん母は首都圏に住む兄一家のところで暮らすことになりましたが、再び関西に戻ってくることになり、母の住まい探しは継続中です。今回は、母の入退院と、「老人ホーム紹介センター」を活用しての施設探しについてです。

首都圏の兄宅にいる母は、2023年2月半ばから肺炎で入院していました。「母が退院した」と義姉から連絡があったのは、いまだ寒さの残る3月はじめ。10日ほどで病院から兄宅に戻りはしたものの、義姉からのLINEによると「母は覇気がなく食事もほとんど口にしない状態」とのこと。じっとうつむいていることもあり、お医者さんからは「うつ病かもしれない」と言われたそうです。
能天気を絵にかいたような母がうつ病? 「自分の意に沿わない環境の変化が、よほど心身にこたえているんやろか」とも思いましたが、もともと母が「兄宅で世話になる」と言い続けていたのです。母のわがままに振り回される兄一家、ことに義姉には大変失礼で申し訳ない話です。
実は、その夜、母から私に「元気になったよ」と明るい声で電話がありましたが、母の言葉を信じることが私はできませんでした。

イヤな予感は的中し、翌日に母は発熱して再入院となってしまいました。このときにはわかりませんでしたが、3月から4月にかけて母は入退院をくり返すことになります。
お医者さんに「誤嚥(ごえん)性肺炎のリスクがあるので、飲食をしてすぐ横にならないように」と言われ、家族も気をつけているのですが、認知症の母は注意を忘れて夜間に起きて水を飲んでしまうようです。母はイヤでしょうが、入院していれば病院の管理下で栄養バランスの取れた食事がとれ、調子が悪くなれば診てもらえます。
兄一家にとっては、母に入院してもらっている方が安心だったのでしょう。「お母ちゃんにはできる限り病院にいてもらって、退院後はそのまま関西へ連れて行きたい」と兄からLINEがありました。気持ちはわかるものの、母の住まい探しを担っている私の肩にはますます重いプレッシャーが…。

迷走の果てに見つけた理想のホーム

ここで話は2月の終わりに戻ります。母の入院でモヤモヤした不安を抱えたまま「老人ホーム紹介センター」のKさんに紹介してもらったサービス付き高齢者住宅の見学日がやってきました。
今回のサ高住は、私の家からは少し不便な場所だったので、Kさんに紹介されるまでスルーしていたところです。「評判のよいホーム」で「新設なので即入居可能」というKさんの言葉で見学することにしました。

見学15:2023年2月 A市のサ高住

見学当日は、家までKさんが車で迎えにきてくれるとのこと。電車や自転車では行きにくいところだったので、送迎サービスはめちゃくちゃありがたかったです。

<施設情報>
●1カ月の料金:家賃、共益費(水道光熱費込み)、食費、管理費あわせて約15万円
別途、敷金21万円、介護保険利用料、電気代、医療費、生活消耗品代、寝具レンタル代など
●部屋:個室18m²~ トイレ、洗面台・収納スペース・緊急通報装置(ナースコール)など
●食事:施設内調理 
●人員配置:夜間は1人
●特徴:カーテンは購入or自分で用意

今回のホームは新築4階建てのとてもキレイな外観でした。入り口には、器用なスタッフさんが作られたという花とチョウの華やかなリースが飾られています。老人ホームというより、オシャレなホテルみたい。
案内してくれたのは50代前後の女性Sさん。ホームのスタッフではなく本社から来られた方で、あらかじめKさんから「クセが強めです」と言われていました。どんな人だろうと身構えていたのですが、たしかに口は悪いもののハキハキとしていて、私は好印象でした。

すぐ前を電車が通る部屋『鉄道好きには夢のような部屋やな』音はほとんどしないね

施設内見学では、空きのある3室を見学させてもらいました。ホームは線路沿いに立地しているため、部屋によってはすぐ目の前を電車が通ります。これを面白いと感じるか、わずらわしいと感じるかは意見が分かれそう。私の戸惑いが見えたのか、「空きが出たら、部屋を交換してもよいですよ」とSさん。それならいいかも。電車の音は二重窓なのでほとんど聞こえませんでした。
室内はこれまで見学した施設と似た感じでしたが、トイレを出た床の近くに「呼び出しボタン」があるのが新鮮でした。転倒した時に、押しやすい位置に配置されているそうです。きめ細かだなー。お風呂はマンションにあるような浴室です。見守りがついて個別に入るスタイルなので人の目を気にしなくていいなと思いました。

見学のあとは、公園に面した日当たりのよい食堂で説明を受けました。話によると、ここは「サ高住」ですが、数年後には「介護付き有料老人ホーム」になる予定とのこと。そのためか、切れ目のない介護サービスを受けられるなど介護に手厚い印象を受けました。
午前・午後の両方にレクリエーションがあるのもサ高住では初めてです。Sさんは、母の体調や希望を丁寧に聞いてくれ「面接はオンラインでOK」「お風呂は週3回で検討」など、柔軟な対応を提案してくれました。もう、この時点で最高レベルの好印象でしたが、さらに私の気持ちを決定づけた出来事があります。
ちょうど午後のレクリエーションの時間で、食堂の真ん中でテーブルピンポンが行われていました。十数人が参加していたと思いますが、皆さん楽しそうに声を上げてはしゃいでいます。お茶になれば、施設長さんが「もらいものなの~」といいながら、お菓子を配っています。ほかの施設では見たことがない光景でした。
いくつもいくつもホームを見学して、やっと巡りあえた理想のホームに、今ならまちがいなく入居ができる。まるで夢のよう。「ぜひ、こちらに住まわせてください!」。こうして母の住まいが見つかったと思ったのでした。

【感想&後日談】

老人ホーム紹介センターのKさんは、施設見学の際の送迎の道中には、いろいろなホームの情報や、私同様に親の住まい探しをしている人の話などをしてくださいました。そうした話を聞けたことも貴重な経験でした。施設につくころには私の気持ちも軽くなっていました。
また、見学の際には、案内役のSさんの説明でわかりにくかったところを補足したり、逆にSさんに質問を投げてくれたりして、いい感じでフォローしてくださいました。面接日の設定など回りくどいこともありますが、希望すれば1日に複数の施設見学に連れて行ってもらえるなど、施設探しには「老人ホーム紹介センター」は重宝なサービスだと思います。

登場人物【あま子】アラフィフのライター&イラストレーター。関西で夫と2人暮らし。優柔不断な性格。【母さん】91歳。要介護3。娘2人の世話で1人暮らしをしていたが…性格はマイペース。【カン太】あま子の夫。突然の施設探しに右往左往するあま子のよき協力者。【カラ美】あま子の6歳上の姉。気の強いしっかり者。兄とは犬猿の仲。3児の母。【ツヨシ】あま子の3歳上の兄。首都圏在住。小さいころからオレ様気質。3児の父。※年齢は施設探しを始めた2022年当時のもの
登場人物

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