大学卒業後は介護を仕事に 猛反対の両親を説得するには【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
認知症介護指導者の白石昌世司さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。
Q.中学生のときに祖母の介護を家族でした経験があり、大学を卒業したら介護の仕事がしたいと両親に話したら、猛反対されました。「なぜわざわざ大変な仕事につくのか」「長続きするわけがない」と言います。どうしたら説得できるでしょうか(20代・男性)
A.言葉で思いを伝えるだけでは、ご両親が介護職に対して抱いているイメージを変えるのは難しいかもしれませんね。おばあさまの介護と仕事としての介護は別ものだということを相談者がどれだけ理解しているのか、という心配もあるのでしょう。家族みんなでおばあさま1人を介護するのとは違って、介護施設ではスタッフ1人で数人の利用者の介護をしなければなりません。
そこでぜひやっていただきたいのが、デイサービスなどでのボランティアです。実際に介護現場を経験してみないとわからないことはたくさんありますし、経験したうえでの言葉であれば説得力も増すのではないでしょうか。まずはボランティアとして数日間見学をかねて手伝いをして、もっと現場を知りたくなったらアルバイトとして働くのもいいと思います。
さらに在学中に介護に関する資格を取っておくのもおすすめです。介護福祉士は実務経験あるいは養成施設の卒業といった受験資格が必要なので、いきなり受験するのは難しいかもしれませんが、その手前の段階として「認知症介護基礎研修」「介護職員初任者研修」といった資格があります。知識や技術があれば、ご両親も納得できると思うので、ぜひチャレンジしてほしいと思います。
介護職というと、オムツ交換や食事や入浴の介助といったイメージだけをもたれやすく、ご両親も大変な仕事だと思われているのかもしれません。しかし介護職の仕事はそれだけではありません。利用者の方とコミュニケーションをとりながら、関係性を作っていく仕事でもあります。私自身は介護職員として約3年働いたのちに、1年ほど別の仕事を経験したのですが、やはり介護の現場で働きたいとこの業界に戻ってきて、もう20年以上経ちます。利用者が元気になっていく姿には喜びを感じますし、利用者のすぐそばで人生の終え方も教わってきました。相談者も経験や知識を身につけて、この仕事のやりがいや奥深さをご両親に伝えられるといいですね。
【まとめ】「介護の仕事をしたい」と言ったら両親に猛反対されたときには?
- デイサービスなどでボランティア、あるいはアルバイトをして現場を経験したうえで、両親を説得する
- 在学中でも取れる介護関連の資格を取得しておく
≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました≫