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どうしたの?アクティブだった父に帰省を断られ心配【お悩み相談室】

ゴルフをするひと、Getty Images
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認知症介護指導者の落川晃央さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。

 Q.一人暮らしの父(70代)はゴルフやジム通いなど多趣味で、アクティブでした。夏休みに例年通り子どもを連れて帰省しようとしたところ「ひざの調子が悪くてゴルフもできない。人に会いたくないので断る」と言われ、驚きました。父に何が起きているのでしょうか(40代・女性)

A.まず疑われるのがうつ病、うつ状態です。高齢になると喪失体験や人間関係のトラブル、ちょっとしたケガなどを機に、それまでできていたことができなくなったり、思い通りにできなかったりして自分を責め、うつ病を発症する方がいます。

また、認知症を発症している場合も「人に会いたくない」と言うことはあります。自分の中で何かがおかしいという感覚はあり、ミスが多くなって、その失敗を人に見られたくないという思いがあるようです。ただし、認知症の場合は記憶の障害が顕著に出やすいので、記憶障害がなければ認知症を発症していることは考えにくいと思います。また、認知症の方は趣味そのものへの興味がなくなる傾向がありますが、お父さんの場合はゴルフをやりたいのに今の状況では思うようにできない、人と会っても何の楽しみもないという負のスパイラルに陥って、落ち込んでいる状況が見受けられるので、やはりうつ病のほうが強く疑われます。

気分の落ち込みのほかに次のような点がないかどうか、チェックしてみてください。

・食欲が落ちている
・夜眠れない
・倦怠感がある
・「どうせ自分なんか」など、よく「どうせ」という言葉を使う

上記の点に当てはまれば、うつ病が疑われるので、受診をおすすめします。うつ病は家族でどうにかできるものではなく、専門的な治療によって治る可能性がある病気です。精神科の受診はハードルが高いかもしれませんが、一般の内科で心療内科を併設しているような病院だと「お父さんも70代だし、一度健康状態を診てもらったら?」というように、受診を促しやすいのではないでしょうか。

離れて暮らしていると異変に気付きにくいですが、お父さん自身もつらい毎日だと思います。今回のことが心身の状態をチェックする、いいきっかけになるといいですね。

【まとめ】多趣味でアクティブな父に夏休みの帰省を断られた。父に何が起きている?

  • 記憶障害など認知症が疑われるような症状がなければ、うつ病の可能性がある
  • 「一度健康状態を診てもらったら?」といった言い方で受診を促す

 

 

≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました≫

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