出来ないことが増えた母 怒鳴っては反省 別居すべき?【お悩み相談室】
構成/中寺暁子
認知症介護指導者の椎名淳一さんが、高齢や介護の様々な悩みに答えます。
Q.母(80代)と2人暮らしです。母にできないことが多くなり、私はイライラして「そうじゃないでしょ!」「なんでできないの!」と𠮟っては、寝る前に反省をする毎日です。母もかわいそうなので、老人ホームに入居してもらい、別々に暮らしたほうがいいでしょうか(50代・女性)
A.実は私自身も、15年ほど前に介護職を始めたころは、認知症の利用者の方に対して、きつい言い方をしてしまうことがありました。でもそのあとで必ず、自分自身がつらくなるんです。利用者の方に対して失礼な言い方をしてしまった自分が嫌いになりますし、自分にこの仕事は向いていないのではないかと感じてしまうこともありました。ですので相談者の今のつらさがよくわかります。
私はつらかったからこそ、認知症の人の対応についてもっと勉強しようと、認知症介護実践者研修を受講しました。そこで指導者の方たちのアドバイスを聞いて、介護への理解を深めていったところ、ケアがどんどん楽しくなってきたんです。指導者養成研修も受け、現在は研修で、指導的立場でお話させていただくこともあります。
少し話がそれてしまいましたが、相談者も認知症カフェや家族の会などに参加して、専門職から介護についてのアドバイスを受け、理解を深められると精神的にラクになるのではないでしょうか。自分のつらい気持ちを吐き出す、共感してもらう、客観的な意見をもらうという意味でも、今の相談者にとっては助けになると思います。それだけでイライラが落ち着いて、お母さんに対する声がけも変わってくるかもしれません。
それでも状況が変わらなければ、相談者が考えるように、お母さんが施設に入居して、別々に暮らすというのも選択肢の1つです。厳しい言い方になりますが、親子2人暮らしのこうした事例から、虐待に発展するケースは珍しくないからです。ただ今の状態で別々に暮らしても相談者に罪悪感のようなものが残ってしまうのではないかと思います。まずは、専門職など第三者にアドバイスをもらったり、介護について勉強したりすることをおすすめします。
【まとめ】母にイライラして叱ってしまい、寝る前に反省する毎日。別々に暮らしたほうがいい?
- 認知症カフェや家族の会に参加して、専門職の話を聞いて介護について理解を深める
- 第三者に気持ちを吐き出す、共感してもらう、客観的な意見をもらうだけでもイライラが落ち着くことがある
- 状況が変わらなければ、別々に暮らすのも1つの選択肢だと考える
≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました≫