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70代の両親が離婚で将来の介護はどうする?パニックです【お悩み相談室】

離婚届に記入する高齢女性、Getty Images
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認知症介護指導者の中島健さんが、認知症の様々な悩みに答えます。

Q.遠方に住む70代の両親から「離婚することになった」という報告を受けました。母が言い出したことで、父も受け入れているようです。それぞれ一人暮らしでやっていけるのか、どちらかに介護が必要になったらどうするのか、息子の自分としてはパニックです(40代・男性)

A.70代で新しい人生をスタートしたいと行動を起こすのは、とてもエネルギッシュなお母さんですね。息子としてパニックになるお気持ちはわかりますが、ご両親の間で決められたことなので、離婚をやめてもらうのは難しいのではないでしょうか。

「介護が必要になったらどうするのか」というところまで想定できているので、実際に介護が必要になったときにパニックにならなくて済むように、それぞれと話し合って準備をしておけばいいのだと思います。

もし介護が必要になった場合、まず相談者は親と同居することが可能なのか、無理なのか。無理であれば、今のうちにその点をはっきりと伝えておくことをおすすめします。そのうえで介護が必要になったら、すぐに施設に入居したいのか、介護保険サービスを利用しつつ、できるだけ自宅で過ごしたいのか。本人たちの希望を確認しておきましょう。

財産管理などにも不安があれば、今のうちに成年後見制度を利用し、相談者との間に任意後見契約を結んでおくと安心です。認知症などになって本人の判断能力が低下した場合に相談者が後見人となり、決めておいた権限内容しだいで不動産や預貯金を管理したり、あらかじめ確認していた本人の希望に添って、介護保険サービスや施設に入居する契約を結んだりすることができます。

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ご両親はたとえ離婚しなかったとしても、介護の問題がなくなるわけではありません。高齢の夫婦2人暮らしで老老介護となり、生活が困難になるケースは少なくありません。もしその状況に直面したときに何も準備をしていなかったとしたら、相談者はパニックになると思います。

ご両親の離婚は、将来の介護の問題について考える機会が少し早まっただけと言えるかもしれません。この機会にじっくりと話す時間をつくって、それぞれの希望を聞けるといいですね。

【まとめ】70代の両親が離婚することになり、介護が必要になったらどうするのか心配なときには?

  • 介護が必要になった場合に相談者ができること、できないことを伝え、本人たちの希望を聞いておく
  • 財産管理など金銭面の不安があれば、成年後見制度を利用し、任意後見契約を結んでおく

 

 

≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました。≫

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