不安が募る今こそ 心身をゆるめてみよう いとしい命を感じながら
《介護福祉士でイラストレーターの、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
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自然の色合いっていいね。
認知症がある私の心は、昔より敏感。
ときどき不安に染まる。
でも誰が置いたのだろう、
窓辺のシクラメン。
その色合いは、
目から私の心をあかるくした。

あったかいっていいね。
認知症がある私の心は、昔より繊細。
ときどきこわばる。
でもあなたがいれてくれた、
日本茶の温かさ。
ひとくち飲めば、
肩の緊張もどこへやら、
ぽかぽかゆるんでいく。

ふれあうっていいね。
認知症があってもなくても、
不安になりがちな今。
私はあなたの体温から、
あなたは私の体温から、
自分自身のぬくみを思う。
私たちのいとしい命。
このたびは令和6年能登半島地震において、
被災された皆様、ならびにそのご家族の皆様にお見舞い申し上げます。
そして、亡くなられた方々、
そのご家族さまに心よりお悔やみを申し上げます。
……………………
誰もがそんな気持ちを抱いていらっしゃることでしょう。
先日、知人とこんな会話をしました。
「新年が明けてから、認知症がある家族が、
家の中でもずっと私を探すようになってしまった。
口にはしないけれど、震災のニュースに心を痛めているのかもしれない」
もしかしたら、そんな状況は私の周りだけではないのかもしれません。
こんな時こそ、認知症があってもなくても、
誰もがこわばりがちな心身を、日常のなかでゆるめる必要を思います。
緊張やストレスは、視覚や触覚を利用すれば、
意外と楽にほぐれてゆくもの。
たとえばフワフワの真っ白いわたのなかに、
手のひらからたっぷり埋めてみることを想像してみましょう。
それだけでも私たちの心身は、
不思議とゆるまるのを感じるはずです。
花や空を見る。
温かいものを飲む。
人の背中に手をあてる。あててもらう。
不安をすべて消し去るのは難しくても、
からだから安心感を得ることは誰でもできるので、利用しない手はありません。
震災と復興を繰り返してきた、
私たちのふるさとを思いつつ、
いまだ避難所にいらっしゃる皆様に、
一日でも早く安全安心な暮らしが戻りますように。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》
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