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母と同じデイに行きたい父と、拒否する母 どうすれば?【お悩み相談室】

妻の後を歩く高齢男性、写真/Getty Imagesから
写真/Getty Imagesから

東京都認知症介護指導者でデイサービススタッフの坂本孝輔さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。

 Q.両親は2人暮らしですが、母(89歳)は足腰が悪く1人での入浴が難しいので、デイサービスに通っています。父(90歳)は日中迷子になったことがあり、1人だと心配なのでデイサービスに通わせたいのですが、母と同じところなら行くと言います。一方、母はそれを拒否しているので困っています(59歳・男性)

A.どちらの思いを尊重すべきか、難しいところですね。お父さんは以前迷子になり、1人にするのが心配ということは、夫婦2人で過ごしているときには基本的に、お母さんはお父さんをサポートしなければならない状況かもしれません。ということは、お母さんにとってデイサービスに行くことは単に入浴目的だけではなく、お父さんの面倒を見なくてもいい貴重な息抜きの時間になっていることが考えられます。できれば、この時間を確保してあげたいですよね。

問題は、どうやってお父さんにお母さんとは別のデイサービスに行ってもらうかということです。現状ではお母さんがデイサービスに行っている間、お父さんはお母さんと離れて過ごせているわけですから、デイサービスそのものに対して抵抗があるのだと思います。「心配だからデイサービスに行ってほしい」というのは、相談者側の思いであってお父さん自身には、デイサービスに行く動機がありません。

デイサービスには、リハビリに特化した施設やカラオケや麻雀などができる趣味に特化した施設などさまざまな種類があります。ケアマネジャーに相談して、お父さんの趣味に一致するような特色があるデイサービスを見つけられると、通う動機になるかもしれません。まずは半日くらい体験をしてみて、楽しいと感じられれば、お母さんが一緒じゃなくても通えるのではないでしょうか。

お父さんが1人で出かけることだけが心配なのであれば、デイサービスに通わなくても対策は可能です。例えば靴やカギなどにGPSなどを装着してお父さんの位置情報がわかるようにしておく、お父さんが玄関を出ると家族に通知が行くセンサーを設置する、といった対策です。こうしたツールを活用すると、相談者の心配は軽減するのではないでしょうか。

ただしお母さんは足腰が悪い状態ですし、今後2人暮らしを続けていくとなると、ますますお母さんの負担は大きくなるかもしれません。デイサービスだけではなく、ショートステイも利用するなど、お母さんの負担を減らす工夫が必要になってくると思います。そのためにも今のうちに、お父さんが通いやすいデイサービスを見つけておくことをおすすめします。

【まとめ】父は母と同じデイサービスに行くことを希望しているが、母が拒否しているときには?

  • お母さんにとってデイサービスは、お父さんと離れて過ごせる息抜きの場かもしれないので、その時間を確保できるようにする
  • お父さんの趣味と一致する特色があるデイサービスなど、お父さんが行く気になるようなデイサービスを探す
  • デイサービスに通うのが難しければ、機器を使って迷子対策をしておく

 

 

≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました。≫

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