心がけたいのは間違えてもいい雰囲気づくり 「なんかちがう」を新たな発見に
《介護福祉士でイラストレーターの、高橋恵子さんの絵とことば。じんわり、あなたの心を温めます。》
ん?
これ、なんかちがう?
認知症がある私は、毎日、
こんなふうにちょっと間違う。
でも、もしかしたら、
新しい味わいが発見できるかも?
おやおや?
これも、なんかちがう?
こうなったら、新しいファッションを発見しちゃう?
でも、そんなふうに笑いの種を探せるときは、
調子がいいとき。
正直このまま、自暴自棄になるときのほうが、
ずっと多い。
それでも、私はできるかぎり、
にっこりする。
だって、笑えば、
間違えてもたいしたことない、と
思えるから不思議。
笑う門には福が来て、な~んかいい感じ。
認知症がある人が、着替えを何度も失敗しているとき、
ご本人は、洋服の形状やボタンに戸惑ってしまう、
そんな自分を恥ずかしく思っているかもしれません。
また、となりにいる人は、
相手の今までと違う様子に、胸がさわぎ、
以前のようにひとりで着てもらおうと、躍起になってしまうかもしれません。
そういったザワザワが、着替えひとつとっても、毎日続くのですから、
お互いの心労はそうとうなものです。
だから、認知症が進んで、日常生活動作がとどこおりがちな人との暮らしでは、
お互いになにを心がけるかが、とても大切です。
そして、その心がけの基本は、
笑いやユーモアだと実感しています。
例えば、となりにいる人が認知症があるご本人にたいして、
はじめにサポートできることは、
「間違えようが大丈夫」という明るい雰囲気づくりではないでしょうか。
その雰囲気は、いつもの表情から、
意識して、ほほ笑みに変えるだけでも生まれます。
笑いは、
間違えたって、できないことがあったって、
楽しく暮らしてゆこう、という、
道しるべになってくれます。
そして、実際そうなった人たちを、
何人も知っています。にっこり。
《高橋恵子さんの体験をもとにした作品ですが、個人情報への配慮から、登場人物の名前などは変えてあります。》